非宗教的信念に基づく良心的兵役拒否を初めて認定する大法院の判断が下された。大法院は、非暴力主義という信念を理由に16回にわたり予備軍訓練を拒否し、起訴されたA氏に無罪を言い渡した原審を確定したと25日、明らかにした。

 大法院第1部(主審:イ・フング大法官)は「宗教的信念ではなく、倫理的・道徳的・哲学的信念による場合であっても、『真の良心』に従った兵役拒否に該当する場合は予備軍法・兵役法で処罰できない正当な事由に該当する」と述べた。

 大法院が2018年11月、全員合議体判決で良心的兵役拒否を認めた後、「エホバの証人」などの宗教ではなく、個人的信念が真の良心的行為と認定された事例は今回が初めてだ。現在、刑務所などで代替服務中の良心的兵役拒否者160人は全員、宗教的信念で入隊を拒否したケースだ。

 判決文によると、A氏は2016年3月から2018年4月までで計16回にわたり予備軍訓練の兵役動員訓練召集通知を受けたが、すべて応じなかった。「他人の命を奪う戦争のための軍事訓練は受けることができない」というのが理由だった。A氏は子どものころ、暴力の前科がある父親に苦しめられたほか、米軍の民間人虐殺動画などを見て、このような信念を持つようになったという。このため、前科者になってでも入隊を拒否しようとしたが、親族たちが「親不孝者」と説得して2011年に現役兵士として入隊した。それでもA氏は軍事訓練を受けなくてもいい会館管理兵に志願し、2013年に兵役を終えた。その後は「これ以上、良心に背きたくない」と決意して予備軍訓練などを拒否してきた。A氏は14回にわたって告発され、2017年に起訴された。

 裁判では、A氏の信念が、2018年に大法院で良心的兵役拒否の基準として提示した「真の良心」に該当するかが争点となった。これに対して、一審裁判部は「陳述が具体的な点、『有罪と判断した場合、予備軍訓練が免除可能となる懲役刑を宣告してほしい』と要求した点などを見ると、A氏の良心は深く、真のものだろう」として無罪を言い渡した。

 検察は、A氏が具体的な疎明資料を提示できていないと控訴したが、二審もA氏側の訴えを認めた。二審は2019年、「予備軍訓練拒否が原因で発生する各種不利益は長年にわたり被告人の就職、交友関係、社会活動など人生全般に影響を及ぼしている」「疎明資料を提示できていないという事情だけで、被告人の内面の良心が人生に影響を与えずにいる、と簡単には断定できない」と述べた。そして今月25日の大法院でも原審の判断が正しいと見なした。これにより、A氏は代替服務の一環として予備軍1年目から6年目まで刑務所や拘置所で4日間過ごし、清掃や施設管理などをしなければならない。今後A氏のように、非暴力の信念を理由に入隊や予備軍訓練を拒否する場合は、兵務庁の代替役審査委員会に申請し、通過手続きを経なければならない。

 一方、憲法裁判所は同日、「訓練不参加者を処罰する予備軍法は基本権を侵害している」として、良心的兵役拒否者たちが起こした違憲法律審判提示・請求を却下した。憲法裁判所関係者は「良心的兵役拒否を認めた大法院判例があるため、各級裁判所が『真の良心』かどうかを解釈すればいい問題だとの趣旨だ」と語った。

 一部では、今回の大法院決定で兵役拒否が認定される良心の領域が拡大されることにより、今後の兵力管理に支障が生じる可能性があるとの懸念もある。兵務統計によると、2011年に約136万人に達した徴集・召集対象は2019年に101万人に減少したという。「2022年までに兵力を50万人に削減する」という国防改革政策と人口減少などが合わさった結果だ。与党・共に民主党のシンクタンク「民主研究院」は2019年の報告書で、「2025年から兵力不足問題が発生する」と予想していた。

ホーム TOP