社説
【社説】フェイクニュースで国民をだます人たちがメディアに向かって「犯罪行為」
韓国の与党「共に民主党」に所属する盧雄来(ノ・ウンレ)議員は、国会の産業災害聴聞会で、鉄鋼大手ポスコの崔正友(チェ・ジョンウ)会長が日本訪問時に神社を参拝したと主張し、写真を1枚公開した。崔会長は、実際には神社ではなく寺を参拝した。神社と寺は全く異なる場所だ。この写真の原本には寺だということを示す箇所があったのに、盧議員が提示した写真はこれを消す加工を施した写真だった。産業災害の責任を問う聴聞会で偽物の写真を持ち出し、親日攻撃を行った。盧議員は、民主党がフェイクニュースに対応したいとして作ったタスクフォース(特別任務遂行チーム)の団長だ。メディアの報道に対して最大3倍の懲罰的損害賠償を科す法案を、先頭に立って推進している。こんな人物がフェイクニュースを作り、ばらまいたのだ。
自分たちこそフェイクニュースを作っているのが、この政権の特徴だ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は原発の危険性を浮き彫りにするため、「日本の福島第一原発事故で1368人が死亡した」と発言した。実際には、事故での死亡が確認された人は一人もいない。典型的なフェイクニュースだった。捜査を始めてもいない事件を違法と断定して追及し、ぬれぎぬを着せられた人が自殺したのもフェイクニュース事件だ。「南北対話がさまざまなルートで続いている」と発言した翌日、北朝鮮が「そんなことは一つもない」と言った。「コロナのトンネルの終わりが見える」と言ったのは、トンネルに入る時のことだった。月城原発1号機の経済性評価も完全なフェイクニュースだった。青瓦台(韓国大統領府)の秘書室長と民情首席がマンション問題で争ったという報道を、青瓦台は「フェイクニュース」と言ったが、最終的には青瓦台の言葉の方がフェイクニュースだと判明した。ロシア軍機の領空侵犯の際には「ロシアが深い遺憾を表明した」と言ったが、フェイクニュースだった。保健福祉部(省に相当、以下同じ)の長官は、ワクチン導入が遅れている状況を巡って「むしろファイザー・モデルナ側から韓国の方に『早く契約しよう』と言っている」と、国民をだまそうとした。食事をするようにフェイクニュースを作ってきたのだ。ところが、文大統領は「フェイクニュースから国民の権益を守らなければならない」と言う。
法務部の朴範界(パク・ポムゲ)長官は国会で「(検察の人事に関連して)具体的な内容が事細かに報じられるのは、それ自体犯罪行為」だと言った。主要な公職者の人事を前にメディアが取材報道を行うのは、世界のあらゆるメディアがやっていることだ。なのに、それが犯罪行為だという政権は、毎日のごとくフェイクニュースを作ってばらまいている。何が犯罪行為か。