韓国軍
監視警戒所を破壊し鉄柵を撤去…南北軍事合意が韓国軍の警戒網に穴をあけた
韓国国防部(省に相当)の徐旭(ソ・ウク)長官は17日に開催された国会国防委員会で、北朝鮮男性が前日に江原道高城の海岸に設置された鉄柵を抜けて越南した事件について「国民を失望させ長官として申し訳ない」と述べた。合同参謀本部のパク・チョンファン作戦本部長は「未詳の人員が監視設備によって複数回補足されたが、該当の部隊(第22師団第8軍団)は適切な対応をしなかった」として「明らかなミス」と認めた。
問題の男性が越南する過程について合同参謀本部は「潜水服を着用し、足にはフィンを着け、GOP(前方観測所)よりも南の海岸にやって来て鉄柵下の排水路を通ってきた」と明らかにした。その後5キロほど歩いて南下し気を失ったところを韓国陸軍第22師団の兵士らによって発見されたという。徐長官はこの北朝鮮男性について「民間人」と説明した。韓国の保守系野党・国民の力のシン・ウォンシク議員が「この寒さの中、海を泳いで越南することが可能か」と質問したのに対し、徐長官は「この男性は6時間ほど泳いで来たと言っていた」「現場で確認したところ、防水服のような一体型の服の中に綿でできた冬物の服を着ていた」と答弁した。
第22師団の監視カメラにこの男性が最初に映った時間は、当初韓国軍が発表していた午前4時20分よりも3時間ほど前だったという。担当者は監視カメラで男性を発見した際、直ちに適切な対応ができなかったようだ。この事態を受け韓国軍は警戒作戦の責任者だった第22師団長を解任し、第8軍団長を「厳重警告」とする方向で検討を行っているという。合同参謀本部も「調査結果によっては厳正に対処する」との方針を伝えた。昨年7月に脱北民が仁川市の江華島で排水溝を通じて越北した事件の際にも、当時の海兵隊第2師団長が解任された。
韓国軍の警戒が立て続けに破られたことで、「南北軍事合意によって監視網に穴があいた」との指摘も出ている。韓国軍は2018年の9・19軍事合意後、非武装地帯(DMZ)内のGP(監視警戒所)10カ所を爆破した。金浦の漢江に設置された鉄柵や東海岸の鉄柵も大量に撤去した。東海岸の警備を担当する第22師団と第23師団も海岸の監視警戒所5カ所を撤去した。このような中で仁川江華島から江原道高城まで東西の海岸鉄柵にいずれも穴があいていたのだ。高城の住民も「いつ武装した北朝鮮軍が入ってくるか分からない」と不安を訴えているという。