青瓦台の蔡熙峯(チェ・ヒボン)元産業政策秘書官(現:韓国ガス公社社長)が2018年、当時の産業通商資源部(産業部)の原子力発電所担当職員に「月城原発1号機の稼働をすぐに停止させられるよう、原発関連係数を引き下げろ。(発電会社の)韓国水力原子力(韓水原)に圧力を加えよ」という趣旨の指示をしていたことが9日、分かった。ほぼ同じ時期、青瓦台の産業政策秘書官室行政官らも別の産業部原発担当職員に同様の指示をしていたことも明らかになった。月城原発1号機を早期閉鎖するための「経済性評価ねつ造」に青瓦台が直接介入していた状況を検察が確保したということだ。

 監査院や産業部などに対する本紙の取材を総合すると、蔡熙峯氏は2018年4月ごろ、当時の産業部エネルギー政策室長に、月城原発1号機を即時に稼働停止させるための「数値ねつ造」を指示したという。月城原発1号機稼動の経済性が低く出るよう、外部機関の経済性評価の過程で同機の電力販売単価や稼働率の数値を低くしろという趣旨だったとのことだ。また、蔡熙峯氏はこうした経済性評価の結果が出るよう、原発管理を担当する韓国水力原子力に圧力を加えろというような言及もしていたという。蔡熙峯氏の下にいた青瓦台産業政策秘書官室の行政官2人も同時期、当時の産業部原発産業政策局局長(逮捕・起訴)と課長(在宅起訴)、書記官(逮捕・起訴)に同様の指示をしたとのことだ。白雲揆(ペク・ウンギュ)前産業部長官は、同部担当職員らからこうした青瓦台の指示に関して報告を受けていたと伝えられている。

 青瓦台からこのような指示が下されて以降、産業部原発担当職員は韓水原職員らや経済性評価機関関係者らに「月城原発1号機を即時稼働停止にできるよう、経済性の結果が低くなければならない」と圧力を加えていたという。結局、S会計法人は同機販売単価と稼働率を低く策定し、原発稼働の経済性が著しく低くなるようにした、というのが先の監査院の監査結果でもあった。こうした経済性評価結果は同年6月15日、韓水原取締役会に上程された。韓水原取締役会は同日、月城原発1号機の早期閉鎖を議決した。本紙は蔡熙峯氏に電話をかけたが受け取らなかった。

 これまで、月城原発1号機閉鎖過程で青瓦台が直接介入していたかどうかは伝えられていなかった。2018年4月初め、同機の「一時的稼働」の必要性を報告した産業部の課長に、白雲揆前長官が「お前、死にたいのか?」としっ責し、「すぐに稼働を停止して報告書を書き直せ」と指示したということだけは伝えられていた。官界では、白雲揆前長官がこのような言葉を発したのも、青瓦台から「即時稼働停止」という指示が下ったとの報告を受けていたためだと見ている。

 一方、この事件を捜査している大田地検刑事第5部(イ・サンヒョン部長)は、裁判所が白雲揆前長官の逮捕状請求を棄却してから約1時間半後の9日の午前2時ごろ、「逮捕状棄却理由は納得しがたいが、さらに徹底的に捜査をするつもりだ」とコメントした。捜査チーム内では逮捕状請求棄却に強く反論しようという意見も出たが、「納得しがたい」という言葉に落ち着いたとのことだ。

 大田地検関係者は「ひとまず、逮捕状請求棄却事由の意味を分析する作業をしている」「捜査チームが逮捕状発行に重点を置いたのは確かだが、だからと言って捜査に支障が出ることもない」と語った。検察は、白雲揆前長官の身柄に関する手続きとは別に、「経済性評価ねつ造」容疑を立証するための捜査を続行するという考えだ。

 法曹界の一部からは、裁判所が明らかにした棄却事由に理解しがたい部分があると指摘する声も上がっている。裁判所は「犯罪容疑に対する疎明が十分に行われたとは見なしがたく、犯罪容疑について争う余地があるように見える」「既に主な関係者が拘束されている状態であり、関係者らの陳述が確保されている状態なので、証拠隠滅のおそれがあるとの断定も難しい」と説明した。

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