金命洙(キム・ミョンス)大法院長は3日、本紙が「弾劾発言」疑惑を報じると全面否定した。当日正午ごろ、大法院の名義で国会に提出した答弁書で、「当時(昨年5月)林成根(イム・ソングン)釜山高裁部長判事に弾劾問題で辞表を受理できないという趣旨で話した事実はない」と主張した。すると、林部長判事は金大法院長の主張に細かく反論する声明を出した。金大法院長は追加的な説明を行わなかった。大法院は「見解はない」とした。その段階では状況がどちらか一方には傾いていなかった。

 

 ところが、4日午前に林部長判事が金大法院長との会話記録と音声ファイルを公開したことで局面が一変した。会話記録によると、金大法院長は昨年5月、胆のう切除などで健康状態が悪いため、辞表を受理してほしいと訪ねてきた林部長判事に対し、「(与党が)弾劾という話を切り出せないように、きょうこのまま(辞表を)受理してしまえば、弾劾の話をできないじゃないか」と発言した。金大法院長が「はっきり言えば、今(与党が判事を)弾劾をしようとあんなに気勢を上げているが、私が辞表を受理したということになれば、国会で話を聞いてどうするんだ」と述べる場面もあった。

 結局金大法院長は同日午後1時ごろ、記者団に謝罪声明を配布した。金大法院長は「(前日の説明は)9カ月前の不正確な記憶に頼った。申し訳ない」と語った。そして、午後6時ごろ退庁する際には、取材陣に対し、「林部長判事と失望させた全ての方々に深い謝罪と申し訳ないという言葉を申し上げる」と再度謝罪した。政界の顔色をうかがったという指摘や今後の去就に関する質問には答えなかった。法曹界からは「金大法院長の態度からみて、『申し訳ない』という謝罪程度で殺到する批判を抑えようとしているようだ」との声が聞かれた。

 金大法院長はまた、林部長判事の弾劾案が国会で可決されたことについて、「残念な結果だ」と述べた。すると、裁判所内部からは「辞表を突き返し、与党に弾劾の道を開いた人物が言うべき言葉なのか」「判事の雰囲気が相当険悪で、金大法院長退陣論が本格化しかねない」といった言葉が聞かれた。

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