国民権益委員会が4日から金学義(キム・ハクウィ)元法務部次官に対する違法出国禁止措置に関連し、4回も公益目的の情報提供を受けながら、情報提供者を「公益申告者」に指定して保護する法的手続きを先延ばしにしていることが26日までに分かった。権益委は同日、「情報提供者が保護を受けるためには、情報提供者の条件だけでなく、各規定に従った追加的な保護条件を満たさなければならない」とする報道資料を出し、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)に捜査を依頼すべきかどうか検討を開始したと説明した。法曹界からは「与党議員が違法出国禁止事件の公捜処送致を主張した翌日、権益委がそれに応じる報道資料を出した。権益委は与党の顔色をうかがっている」と批判の声が上がっている。

 公益申告者保護法9条は、権益委が情報提供の内容を確認後、直ちに調査機関または捜査機関に事件を送致することになっている。この事件の情報提供者によると、今月4日に最初の情報提供を行って以降、追加で受理された3件の情報提供は26日現在、権益委のウェブサイトで「審査中」となっている。情報提供者は証拠隠滅を懸念し、速やかな事件送致を求めたが実現していない。

 情報提供者はまた、「権益委が遅れて公捜処送致をを検討するのもおかしい」と述べた。提供者によると、今月4日の情報提供時に提出した公益申告書で公捜処への事件装置を求めたが、当時権益委の担当者は「公捜処長が任命されても捜査官選抜まで数カ月かかる可能性があり、公捜処への送致は難しい」と話したという。情報提供者は「そう言っていた権益委は与党政治家が25日に公捜処送致が妥当だと発言するや、『検討中』という報道資料を配布した」と批判した。

 違法出国禁止事件は今月13日、水原地検に捜査が割り当てられ、21日に法務部と大検察庁などを家宅捜索したことで捜査が本格化した。情報提供者は15日に追加の情報提供を行い、「公捜処の発足遅延で被申告人(法務部など)の証拠隠滅および逃亡の可能性が高いため、水原地検に情報提供資料を送致するのが妥当だ。最大限速やかに伝達してもらいたい」と記述した。しかし、送致は行われていないという。

 これに先立ち、今月4日の最初の情報提供直後、権益委は情報提供者に「個人情報保護法違反は警察、職権乱用は検察の捜査対象なので、分けて申告するように」「個人情報保護法の部分を取り下げれば、腐敗犯罪を扱う部署に送致する」などといった要求を行ったが、情報提供者は拒否したという。

 2017年の大統領選当時、文在寅(ムン・ジェイン)選対で公益情報提供委員長として活動していた申平(シン・ピョン)弁護士は「権益委が官僚化し、メディアの関心を浴びる事件にばかり神経を使っているという指摘があり、大統領選当時に別の公益情報提供機関を設置しようという論議が与党内であったが、なかったことにされた」と語った。権益委による「顔色うかがい」の事例としては、秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官の息子の軍における休暇優遇疑惑を指摘したH氏が昨年9月、「公益申告者保護措置」を申請したものの、申告対象犯罪ではないという理由で拒否された一件がある。

 一方、権益委は「関連法で60日以内に事件を処理することになっており、現在情報提供者の申告趣旨などを確認する手続きが進んでいる」とし、「遅延処理」ではないと反論した。また、「個人情報保護法と職権乱用を部署別に分けて扱うと言っただけで、個人情報保護法の部分の『取り下げ』を要求した事実はない」と説明した。

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