姜昌一(カン・チャンイル)新駐日韓国大使が日本に赴任した際、「天皇陛下に信任状を提出しなければならない」と言った。姜昌一大使は与党・共に民主党議員時代、「『天皇』の代わりに『日王』という表現を使おう」と主張して日本側の反発を買った。金大中(キム・デジュン)政権時の1998年以降、外交の場における政府の公式用語は「天皇」だった。ところが、あえて「日王」に変えようとしたものの、大使になるや「天皇陛下」と敬称まで付けたものだ。もし野党がこのようなことをしていたら、額に「土着倭寇」という烙印(らくいん)が押されたことだろう。

 姜昌一大使はまた、「和解・癒やし財団」解散後、残った日本政府の拠出金10億円について、「その金を合わせて両国政府が基金を作る問題に関して話さなければならないのでは」とも言った。この10億円は朴槿恵(パク・クネ)政権時だった2015年の慰安婦合意の結果物だ。文在寅政権はその合意を前政権の積弊(弊害)として扱い、慰安婦被害者のために使われる10億円は宙に浮いてしまった。このように自分たちが放り出した10億円をこっそり再び取り出して韓日関係修復のための呼び水として使おうというのだ。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は年頭記者会見で、「2015年の慰安婦合意は政府間の公式合意」と言った。「合意に重大な欠陥が確認された」「新たに交渉をしなければならない」と言っていた4年前の自身の発言を、手のひらを返すようにひっくり返しておきながら何の釈明もしなかった。大統領は会見で、裁判所の慰安婦賠償判決や強制徴用現金化決定にも「当惑している」「望ましくない」と言った。韓日関係を破たんに追い込む裁判所の判決を懸念する声だけ出しているが、「竹槍歌(竹槍を手に日本軍に反乱を起こした東学軍を題材にした歌)」を歌って脅迫した政権がこのように一夜にして急変することがあるのだろうか。

 前政権の慰安婦合意を破棄し、徴用に対する外交的解決を「司法介入」に追いやったのはまさに現政権だ。そうした人々が、韓米日の協力を重視するバイデン政権になり、行き詰まっている南北関係を打開するため日本の協力が切実になると、前政権がしたことを復元しようともがいている。自分たちが犯罪に追いやったまさにその件だ。さらにあきれるのは「強制動員(徴用)であれ、慰安婦問題であれ、前政権の時に始まったこと」「その荷物を私たちが一度に片付けなければならない格好だ」という姜昌一大使の愚痴だ。今や自分がやったことも他人がやったことも区別がつかないようだ。

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