最近、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が出席した行事に関して、政界では「いわゆる『卓賢民(タク・ヒョンミン)リスク(risk)』が尋常でない」という声が相次いでいる。かつて女性を見下す発言や不適切な性認識発言で物議を醸した卓賢民・青瓦台儀典秘書官(47)がこのところ、自ら企画した文大統領関連行事で相次いで批判され、「国政リスク」になっているとの指摘だ。特に、11日に文大統領が京畿道華城市内の公共賃貸集合住宅を視察したことをめぐり、野党が提出した「4000万ウォン(約370万円)のショールームとインテリア、4億ウォン(約3700万円)の広報費」論議が1週間以上も尾を引いており、与党内部からも批判の声が上がっている。

 ある与党関係者は「卓賢民秘書官の行事準備の感覚は非の打ち所がないが、行事の『見た目』にあまりにも気を使いすぎていて、このような批判が出ているようだ」と言った。文大統領の支持率が最近の下がっているのに伴い、こうした内部の不満も膨らんでいる様子だ。

 「フェミニスト」を自任してきた文大統領だが、女性団体関係者たちの反発があったのにもかかわらず、今年5月末に青瓦台から離れていた卓賢民氏を儀典秘書官に昇進させて再び招き入れた。しかし、青瓦台復帰後も同氏が企画した行事は相次いで批判を浴びている。今年6月の6・25(朝鮮戦争)70周年行事時は「国軍遺骨送還空中給油機行事」が物議を醸した。青瓦台は当初、「ハワイから祖国に戻ってきた護国英霊をたたえる内容の映像を、遺骨を持ち帰った空中給油機の胴体に直接投影する」と言っていたが、同じ機種の別の給油機が使われていた事実が後になって分かった。ある青瓦台関係者は「事前に知らせていたら批判そのものが起こらなかっただろうに、残念だ」と言った。

 7-8月には卓賢民秘書官の側近が新たに設立した公演企画会社が青瓦台などの政府行事を多数受注したという「特恵疑惑」が取りざたされた。この会社が3年連続で受注した三精剣授与式(陸海空軍の准将昇進者に「三精剣」という刀剣を授与する式)は騒動を経て、来年からは公開入札方式に変わる。

 また、9月の鄭銀敬(チョン・ウンギョン)疾病管理庁長任命状授与式では、出席者が多くて「ソーシャルディスタンス(社会的距離)が守られていない」と物議を醸し、とうとう鄭銀敬庁長が「恐縮している」と謝罪する事態になった。同月のデジタル・ニューディール文化コンテンツ産業戦略報告会は、北朝鮮による韓国人公務員銃殺事件が報道された翌日にアカペラ公演なども含めたまま強行されて批判された。

 今月10日、地上波放送局3社・6局を通じて全国に白黒映像で生中継された文大統領の「大韓民国カーボンニュートラル宣言」も物議を醸した。行事後、KBS労働組合は「青瓦台儀典秘書官・王(のような)プロデューサー時代」と称し、卓賢民秘書官が「指針」を作り、放送局の画面演出方式など全般に介入したと主張した。卓賢民秘書官はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で「青瓦台の行事責任者が演出し、KBS中継チームが演出案通りに放送することのどこがおかしいんだ」と反論した。

 行事進行とは別に、卓賢民秘書官のSNSなどを通じた「自画自賛」が行き過ぎだという声も聞かれる。側近は大統領を目立たせなければならないのに、自分の成果ばかり浮き彫りにして注目を浴びようとしているのではないか、という指摘だ。卓賢民秘書官は最近、大統領行事が終わるたびに、SNSの自身のアカウントに後書きや感想を書いている。主に「悩んだ末に生まれたものだった」と企画意図を紹介するものだ。

 今月11日の文大統領の公共賃貸集合住宅視察では、移動を促す卓賢民秘書官らに向かって、文大統領が「いや、違う、違う。建物の周辺が重要なのに、何も知らずに入って(どうするんだ)」とたしなめる場面があった。ある与党関係者は「今回の行事も、実際の居住者たちが暮らしている姿を大統領が直接視察なさるのが趣旨に合っていただろう」と言った。

安俊勇(アン・ジュンヨン)記者

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