▲国民の力の金睿智(キム・イェジ)議員。

 「教科書をハングルだけで書いた場合、正しく理解することは困難」「ハングルで書かれた漢字語の本当の意味が分からなければ、ハングル専用は弥縫策(びほうさく)にすぎない」

 初等学校(小学校に相当)教科書における漢字併用問題が学界で再び論争となっている。発端は今月2日、韓国の保守系野党・国民の力の金睿智(キム・イェジ)議員ら国会議員10人が共同で提出した「初中等教育法一部改正法律案」だった。この改正案は、初中等教育法第29条に「教科用図書はハングルで作成するが、その意味を簡単かつ正確に伝えるために必要な場合、教育部(省に相当)長官が定めて告示した漢文教育用基礎漢字を同時に使用することができる」という項目を入れようとするものだ。

 女性の視覚障害者として最初の国会議員となり、この法案を代表で提出した金議員は法案提出の理由について「国語の単語における漢字語の割合は70%程度に達しており、漢字は国語理解に必須だ」「児童・生徒たちの思考力と語彙(ごい)力を高めるためには、漢字を併記する必要がある」と説明した。

 これに対してハングル学会は10日に声明を発表し「教科書における漢字併用を復活させるという法案はやめるべきだ」と主張した。「法案発議文は全てハングルで記載されているが、その理解と表現に問題はなく、文章力と思考力も阻害していない」というのがその理由だ。ハングル学会はさらに「ハングル専用は文字生活における表現と理解の自由を享受させている」「国漢文併用は国民にとって平等な文字生活を不可能にし、情報化・科学化を妨害する」とも主張した。

 すると漢字併用論側は再び反論した。成均館大学の全広鎮(チョン・グァンジン)名誉教授は18日、教育専門メディア「EduinNews」への寄稿で「ハングル学会が声明で使った『ハングル専用』という言葉は、『専』と『用』という漢字の意味を知らなければ、その意味が見当もつかない言葉だ」と批判し「漢字併用は漢文の文章を同時に使う国漢文併用を提案するものではない」と説明した。全教授は「ハングル専用教科書は音の情報を提供するだけで、意味についての情報を知るには必ず漢字併記が必要だ」と主張した。

 初等学校の教科書における漢字併記については前政権において2年にわたり研究が行われ、昨年から施行する計画だったが、現政権発足後の2017年末にこの政策は取りやめとなった。

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