最近韓国政府と与党が強行処理した「対北ビラ散布禁止法」に対して、国連が「表現の自由の侵害」を指摘して改正を勧告した。しかし韓国外交部(省に相当。以下同じ)と統一部は法案を擁護した。国連のトーマス・オヘア・キンタナ北朝鮮人権特別報告官は17日、対北ビラ散布禁止法に関連して「法施行の前に、関連する民主的な機関が、適切な手続きに従って改正案を再考することを勧告する」と語った。キンタナ報告官はこの日、論評を通して「対北ビラ禁止法は、さまざまな方面で北朝鮮住民に関与しようとしている大勢の脱北者や市民社会団体の活動を厳格に制限する」と指摘した。対北ビラ禁止法は「表現の自由」を侵害し、「北朝鮮の人権改善」にも役に立たないというのだ。

 だが韓国政府は、こうした主張は不適切だとして対北ビラ禁止法を擁護した。統一部は17日に見解を発表し、キンタナ報告官の発言に「遺憾」を表明した。ベネズエラ、キューバ、シリア、中国、北朝鮮など全体主義独裁国家が人権問題で国連側と衝突するケースはよくあるが、韓国政府が国連とぶつかるのは異例だ。統一部の当局者は「キンタナ報告官は、(この法律が)多数の接境地域国民の生命・安全を保護するため少数の表現方式に最小限の制限を加えたという点を、バランスを持って見るべき」とも語った。

 外交部の康京和(カン・ギョンファ)長官は17日、米CNNテレビのインタビューで、アンカーが「対北ビラ禁止法について米国議員も問題にしている」と言うと「表現の自由は非常に重要な人権だが、絶対的なものではない。制限されることもあり得る」と主張した。

 先に米共和党のクリス・スミス下院議員は、対北ビラ禁止法は市民の自由を無視して北朝鮮の弾圧を黙認するものであって、韓国憲法とICCPR(市民的および政治的権利に関する国際規約)上の義務に明白に違反する、と主張した。康外相は、米国メディアを通してこれに反論したわけだ。元駐米韓国大使のある人物は「韓米がほかならぬ人権を巡って公に顔を真っ赤にして甲論乙駁(こうろんおつばく)するのは、かつての軍事政権時代でもあまりなかったこと」と指摘した。

 この日、韓国内外の47の人権団体が、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に公開書簡を送って「韓国が北朝鮮の人権に関連してリーダーシップを見せないのなら、北朝鮮の人権じゅうりんに対する国際社会の圧迫が弱まる」と訴えた。また、韓国が最近2年間、北朝鮮人権決議案の共同提案国として参加していないことについても遺憾を表明し、再度の参加を求めた。

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