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米司法省「中国のスパイ1000人超、研究員になりすましバイデンを標的に」
米司法省が、今年1000人超の中国のスパイを出国させたと明らかにした。中国のスパイたちは研究員になりすまし、バイデン次期米政権を標的としたスパイ活動を繰り広げていたことが分かった。
米司法省のジョン・デマーズ次官補(国家安全保障担当)は2日(現地時間)、米国のシンクタンク、アスペン研究所主催のビデオ会議で「当局が中国のスパイの取り締まりを強化する過程で、中国軍と関係があるとみられる研究員1000人超が自国に帰った」と明らかにした。
米国政府が30の都市で捜査を繰り広げ、ヒューストンの中国総領事館を閉鎖するなど厳しい取り締まりを続けるうちに、スパイたちは自ら出国したという。
今年9月、中国軍と関係があると疑われて査証(ビザ)が取り消された中国人約1000人も合わせれば、計2000人に達するスパイが米国各地に潜んでいたことになる。
デマーズ次官は、中国のスパイたちが米国政府傘下の国策研究機関や民間機関、大学などで研究員になりすましてスパイ活動を繰り広げていたとして「中国だけが米国でこのように幅広い活動に介入できる資源と能力を備えている」と強調した。
米国家情報長官室(DNI)傘下の国家防諜安全保障センターのウィリアム・エバニナ所長は、これらのスパイたちがバイデン内閣と周辺の人々を標的としていることを把握したと明らかにした。
エバニナ所長は「悪意ある外国の影響力が新政権に影響を及ぼし始めた」として「中国は米国の新型コロナウイルスワクチン開発や大統領選挙などに介入しようとした」と説明した。
一部では、中国共産党の後援を受けて米国で活動するに至った研究員が多いことから、スパイと疑われる可能性を断つために出国の道を選んだ研究員もいるのではないかの解釈が出ている。
米シンクタンク、ランド研究所のジェイムズ・マルベロン研究員は「自国に帰った1000人全員がスパイである可能性は低い」として「ほとんどは共産党との関係性のせいで職を失うことを恐れ、米国を離れたのだろう」と話した。
しかし、米連邦捜査局(FBI)の関係者たちの意見は異なる。
元FBI要員のホールデン・トリプレット氏は「重要なのは、研究員たちが中国軍の所属なのか否かではない」として「一般の学生や研究員でも中国政府の搾取対象になる可能性がある。これらの人材がスパイ活動のために米国に来たのではないとしても、中国政府の圧力の下に置かれればそうするしかない」と指摘した。
これに関連し、駐米中国大使館は立場を表明していない。また、バイデン氏の政権移行チーム側はコメントを拒否した。