5・18民主化運動(光州事件)当時ヘリ射撃を目撃したと証言した故チョ・ビオ神父の名誉を損なった罪(死者名誉毀損〈きそん〉)で起訴された全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領(89)が、有罪を言い渡された。

 光州地裁刑事8単独の金貞勲(キム・ジョンフン)部長判事は30日、全・元大統領に懲役8カ月、執行猶予2年を言い渡した。裁判長は「1980年5月21日、光州で武装状態の500MDヘリが射撃をしたと認められる」とし「被告人は自らの主張が虚偽であることを認識しつつも回顧録を執筆した」と指摘した。全・元大統領は2017年4月に回顧録で、5・18当時ヘリ射撃を目撃したと証言した故チョ・ビオ神父について「聖職者と呼ぶのが恥ずかしい破廉恥なうそつき」と記し、18年5月に裁判にかけられた。

 5・18当時ヘリ射撃があったかどうかは30年以上にわたり論争が続いていた。1988年、韓国国会の「光州事態の真相究明のための聴聞会」でヘリ射撃を見たと証言が出たが、証拠が足りず、ヘリ射撃はないと結論が出た。金泳三(キム・ヨンサム)政権時代の95年、韓国検察は「人命被害が確認されず、明瞭な被弾の痕跡や破片などは確認されなかった」として同様の結果を発表した。捜査の結果は全斗煥・盧泰愚(ノ・テウ)両元大統領の刑事裁判にそのまま反映された。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代の2007年、国防部(省に相当)の過去史真相究明委員会もまた「光州に投入された武装ヘリの離着陸記録がない」として「ヘリ射撃はなかった」と結論付けた。

 その後、論争は鎮まっていたが、16年8月に旧全羅南道庁に近いチョンイル・ビルディングの改築の過程で弾痕が多数発見されたことから再燃した。光州広域市は国立科学捜査研究院(国科捜)に鑑定を依頼し、国科捜は同年12月、「当時としては光州で最も高い建物だったチョンイル・ビルディングの10階で弾痕を少なくとも150個識別した」とし「ホバリング状態のヘリから発射した可能性が推定される」と報告した。弾痕を鑑定した国科捜のキム・ドンファン銃器研究室長は「もっと高い場所からの射撃でなければ、建物の10階の床に弾痕を作ることはできない」とし「当然、飛行物体の射撃が有力」と語った。

 10カ月後、文在寅(ムン・ジェイン)政権は国科捜の弾痕分析結果をそのまま使ってヘリ射撃を認めた。18年2月、国防部の5・18特別調査委員会は「チョンイル・ビルディング10階の弾痕は、さらに高いところから射撃した際にできる」とし「陸軍は攻撃ヘリ500MDと機動ヘリUH1Hを利用して光州市民に向けて射撃を加えた」と発表した。だがこのときも、中心的な証拠となるヘリの運航日誌を確保できず、5・18当時のヘリのパイロット5人も「武装状態で光州上空を飛行はしたが、射撃は行わなかった」とヘリ射撃を否認し、論争が続いていた。今回裁判部は、先の国科捜の鑑定結果と5・18特別調査委の発表内容を相当部分引用し、有罪判決の根拠とした。

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