社会総合
「ユニクロに並ぶ犬豚」「反日扇動のほうが犬豚」…日本製品不買運動1年、韓国社会の二つの表情
今月4日、インターネットの掲示板サイト「ポベドリーム」に「二足で歩く豚」と題する写真が掲載された。ユニクロの店舗でレジに並ぶ市民を撮影したものだった。投稿者は写真に「(ジョージ・オーウェルの)小説『動物農場』を思い出す。あんな犬豚と同じ町内に住んでいるなんて」というコメントを付けて批判した。日本製品不買運動に賛同しない市民を「犬豚」に例えて批判したものだ。
コメントはもっと過激なものだった。「日帝の奴らにひざまずき、首をはねられないと後悔しない」「日本に失せろ」などという内容だった。彼らは日本の靴販売店ABCマートを「アベシ×マート(Xの部分は卑語)」、日本料理店を「倭寇店」と呼び、聖域のない日本製品不買運動の継続を求めた。
一部のネットユーザーは「(一般市民の)写真まで撮ってシェアするのはあんまりではないか」と反論した。しかし、掲示板のメンバーは「サル(のような)考えだ」「虫」などと無視した。日本製品に対する市民の反感が依然上回っていた。
しかし、インターネットのコミュニティーが違うと写真に対する反応も克明に異なった。コミュニティー「FMコリア」には「あの投稿に使ったスマートフォンにも日本の部品が入っているはずなのに」「反日扇動の側に付いたことがむしろ犬豚だ」という書き込みがあった。別のコミュニティー「MLパーク」には「小説『動物農場』が批判したのは全体主義的思考だが、小説を読んだことはあるのか」という非難の書き込みがあったほか、「自分はユニクロよりも慰安婦被害者を食い物にすることに憤怒を覚える」とし、正義記憶連帯などの市民団体を批判する人もいた。
昨年7月に日本による貿易規制に対する反発に端を発した日本製品不買運動が始まって1年が過ぎた。ユニクロ、アサヒビールなどに代表される日本製品不買運動は全国的な支持を得たが、1年たった現在、評価が極端に分かれている。
「日本に対する国民の結集力を見せつけた成功した運動だった」という肯定的な評価と「現実性がなく、国民的な反日感情にだけ頼った政府・与党の大衆扇動にすぎない」という批判が共存しているのだ。
ユニクロと日本製ビールなどを対象とする日本製消費財に限れば、不買運動の効果は明らかにあった。業界は過去1年でユニクロの赤字が数百億ウォンに達したと推定している。ユニクロを運営する日本企業ファーストリテイリングは、2019年9月から1年間の売上高が12.3%、純利益が44.4%減少したと発表した。韓国に187カ所あったユニクロ店舗は160カ所余りに減少。日本製ビール、たばこの輸入額はそれぞれ84%、89%減少した。
しかし、同じ期間に韓国では日本のゲーム「どうぶつの森」がブームを起こし、日本のプレミアムブランド「コム・デ・ギャルソン」「オニツカタイガー」などは不買運動の影響を避けた。レクサス、トヨタは過去3カ月間で韓国での販売台数が前年同期比49%、13%増加するなど、不買運動が1年以上続き、日本企業の韓国での販売実績が高級消費財から徐々に回復を見せている。
不買運動の動力が弱まった理由は選挙シーズンを前に「反日」感情を刺激してきた政府が選挙後、状況が何も変わっていないにもかかわらず、「相生・協力」を強調するなど態度を変えたからだとする見方もある。
「もう日本には負けない」と韓日感情を主導してきた文在寅(ムン・ジェイン)大統領は日本の菅義偉首相が就任すると、「いつでも向かい合って座り、対話を行い、意思疎通する準備ができている」と日本に対話のジェスチャーを送った。今年9月には文大統領と菅首相の電話会談が実現した。朴智元(パク・チウォン)国家情報院長も最近、訪日日程を調整するなど関係改善に向けた水面下の作業を進めているとされる。