秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官が自身のことを批判した検事をターゲットに人事上での報復を示唆したことをきっかけに、同長官に反旗を掲げる検事たちの「カミングアウト」が相次いでいる。李煥羽(イ・ファンウ)済州地検検事が検察内ネットワークで、秋美愛長官が人事権・指揮権・監察権などを乱用していることを批判、「検察改革は根本から失敗した」と投稿したのは28日のことだった。秋美愛長官は「そうやってカミングアウトしてくだされば、改革だけが答えです」と応酬した。李煥羽検事に対して報復すると予告したものだ。チョ国(チョ・グク)前法務部長官が李煥羽検事に対する否定的な記事をリンクした直後、秋美愛長官がこれをシェアした際に投稿した文章だ。すると、直後にほかの検事たちが李煥羽検事を支持し、「私も李煥羽だ」というコメントを付け始め、その数は二日間で200人を超えた。異例なことだ。

 この事態は、検察がチョ国前長官の不正を捜査したのをきっかけに始まった。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長に「我が政権の不正も捜査せよ」と指示した後のことだった。いざ、検察がチョ国一家の不正や青瓦台の蔚山選挙工作事件などを捜査し始めると、現政権は検察捜査チームを空中分解させる「人事虐殺」措置で対応した。世界の民主国家で、捜査中の検察を捜査対象が「人事虐殺」してしまう国はないだろう。関与した検事たちは一人残らず左遷された。一人で3回左遷された検事もいる。現政権はこの時から自分たちのこうした行為を「検察改革」と呼び始めた。とんでもない名前を付けて宣伝戦を繰り広げるというやり方だ。今、検事たちは「政権の不正を捜査できないように阻むことのどこが検察改革なのか」と問いかけているのだ。

 検事たちは「北朝鮮じゃあるまいし、怖くて何も言えない世の中になったようで悲しい」「抑圧と恐怖は改革ではない」「意見を言っただけでも嘲弄(ちょうろう)・批判される現実」と嘆いている。全検事2150人余りのうち、10%近くが実名でこのような批判に加わっている。決して少ない数ではない。過去の政権で検事たちが連判状を書いた時も、これほどの人数が賛同したことはない。さらに、民主党出身の千正培(チョン・ジョンベ)元法務部長官の娘婿も「私もカミングアウトする」と宣言して合流した。パク・ギュウン水原高等検察庁検事は「これまでの検察改革は、一言で言えば執権勢力と一部検事たちの合作のもとで行われた詐欺だったようだ」と述べた。

 現政権は今、数兆ウォン(数千億円)単位の「ファンド・ゲート」捜査も覆い隠そうとする動きを見せている。与党関係者の名前が出ると突然、尹錫悦検察総長の捜査権をはく奪する指揮権を発動した。「検察改革という包み紙で包んでも、本質は政治権力の検察権掌握だ」と言ったシン・ホンソプ・ソウル南部地検検事の指摘そのままだ。文在寅政権の検察改革とは、検察を掌握して政権の不正の捜査を阻むものだ。

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