釜山港湾公社は2018年から最近まで北朝鮮側と接触し、北朝鮮の羅津港開発協力事業について協議を行ってきたことが19日までに分かった。国連による非常に厳しい制裁によって北朝鮮への投資自体が不可能で、また今年6月には北朝鮮が開城の南北共同連絡事務所を爆破したにもかかわらず、北朝鮮の港湾開発に向けた支援を検討しているのだ。野党からは「北朝鮮がいかなる蛮行をしても、それでもばらまいて与えるというのか」などの批判が相次いでいる。

 韓国の保守系野党・国民の力の権性東(クォン・ソンドン)議員の事務所が入手した「南北経済協力時代に備えた港湾物流分野相生発展方案」など釜山港湾公社の複数の内部文書によると、中国朝鮮族のキム某氏が社長を務める中国琿春金星海運物流有限公司は2018年2月、北朝鮮の関係者を通じて釜山港湾公社側に羅津港開発事業への支援が可能かどうか打診してきたという。

 その後、民主平和統一諮問会議常任委員や南北障害者体育交流会委員長などを務める企業経営者のユ某氏が乗り出した。ユ氏は北朝鮮の張雄(チャン・ウン)国際オリンピック委員会(IOC)委員と平昌オリンピック関連の対話を交わした際、港湾開発協力についての意見交換も行った。その後、ユ氏は2018年2月に2回釜山港湾公社を訪れ、北朝鮮における港湾開発、さらに港湾に関する専門家養成に向けた協力が可能か公社側に問い合わせ、その上で複数回にわたり北京を訪問して北朝鮮側と意見の調整を行った。釜山港湾公社はこれらの内容を国家情報院や韓国統一部(省に相当、以下同じ)の実務担当者に伝え、慎重に話を進めてきたことが上記の内部文書に記されている。

 釜山港湾公社は60ページの分量のこの文書の中で、北朝鮮について「朝鮮」という名称を使用した。「朝鮮の張雄IOC委員長」「朝鮮物流基本計画樹立支援」「朝鮮の優秀な観光資源(金剛山など)と連携した観光商品の開発」など、文書には朝鮮という単語が複数回登場する。

 釜山港湾公社は今年8月27日には琿春金星と羅津港開発に向けた極秘の協力意向書も作成した。この日、琿春金星社長のキム氏は「われわれの会社は羅先市政府、朝鮮政府、朝鮮最高指導者からの絶対的な信認と信頼により、再び羅津港について49年間賃貸を受けた」と記載された文書を釜山港湾公社に送付した。キム氏が送ったこの文書には「2020.7.21.羅先市から、金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党中央委員会第1副部長が羅津港運営に関して会おうと提案し受諾」「最終批准は金正恩(キム・ジョンウン)委員長の批准を受けねばならないため、事前に金与正第1副部長が先立って複数回チェックを行うため会うことを提案した」などの記載もあった。羅先市と羅津港開発契約を締結したときの写真も添付されていた。

 今年8月28日には釜山港湾公社社長も意向書締結計画を決済した。これについて釜山港湾公社は権議員の事務所に対し「北側と開発事業関連で多少の意見の違いがあったため、まだ意向書には署名していない」と弁明した。しかし権議員は「釜山港湾公社が『北朝鮮へのばらまき』に向けた協約締結の事実を隠蔽(いんぺい)するため、国会に偽証を行ったのではないかと疑っている」「北朝鮮によるいかなる蛮行にもかかわらず、ばらまきはやめないということだ」と指摘した。

 このような中で統一部はこの日、アフリカ豚コレラ(ASF)の発生により1年間中断していた板門店共同警備区域(JSA)の見学を来月4日から再開すると発表した。韓国海洋水産部職員殺害事件から1カ月も過ぎていない時点でのJSA見学再開については、「時期尚早」といった指摘も相次いでいる。高麗大学の南成旭(ナム・ソンウク)教授は「わが国の公務員が殺害される事件が発生してからまだ1カ月も過ぎておらず、また北朝鮮が共同調査の要求にも応じない今の状況では、あまりにも性急な措置にみえる」とコメントした。今月初めに江原道華川でASFが再び発病した事態を無視したとの指摘も出ている。

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