米国が280億ドル(約2兆9600億円)を投入して推進する月探査計画「アルテミス(Artemis)計画」に日本やオーストラリアなど米国の主要同盟7カ国がパートナーとして参加することが分かった。

 これは、読売新聞が11日、米国主導で月を中心とした宇宙資源所有・利用などの規範を定めるアルテミス合意に米国・日本・カナダ・英国・イタリア・オーストラリア・ルクセンブルク・アラブ首長国連邦の8カ国が参加を決めた、と報道したものだ。同紙によると、この8カ国は近く合意のためオンライン署名式を行う予定だという。

 米国は「アポロ計画」(1961-72年)に基づいて12人の宇宙飛行士を月に行かせたが、それ以降、どの国も有人での月探査ができていない。「宇宙覇権」を唱えるドナルド・トランプ政権は今年5月、「再び有人での月探査を開始する」と宣言、2024年までに月の南極に宇宙飛行士を送るアルテミス計画を本格化させた。アルテミスはギリシャ神話に出てくる太陽神アポロンの双子のきょうだいで、月の女神を意味する。

 アルテミス計画には、有人月面着陸のほか、月面基地の建設や、「ゲートウェイ(Gateway)」と呼ばれる月軌道宇宙ステーションの建設が含まれている。ゲートウェイはその名の通り、火星探査などより遠い宇宙に行く中間基地の役割を担うことになる。

 アルテミス計画は「月の経済(lunar economy)」を本格的に構築しようという米国の構想の出発点だ。トランプ政権や欧州宇宙機関などの宇宙開発国は月を戦略的資産として見ている。月面にあるヘリウム3という物質が人類のエネルギー問題を解決する代案だとの期待があるからだ。ヘリウム3は1グラムで石炭40トンが生産するエネルギーを作り出すことができ、月のヘリウム3は地球が何百年も使用できる量だと言われている。このほかにも、月には半導体などハイテク産業に不可欠なスカンジウム、イットリウムや各種希土類も豊富だ。

 「アルテミス合意」の目的は、月の資源を掘り出した企業がこれを所有するようにする国際法体系を提供することだ。米国は2015年、宇宙採掘資源の所有権を採掘企業が持つとする国内法を制定したが、国際社会では関連規範がまだない。米国側が今年11月の米大統領選挙前のアルテミス合意を急いでいるため、まだ法的な拘束力はないが、宇宙開発に関する初の国際規範に発展する可能性があると評価されている。アルテミス合意には、宇宙活動の平和目的に基づく実施、科学的データなどの透明性確保、宇宙ゴミを増やさない対策なども含まれている。

 アルテミス合意に参加する米国の同盟国7カ国は、これまでアルテミス計画に深く関与してきた。日本はアルテミス計画の一環である月軌道宇宙ステーション「ゲートウェイ」の居住・物資輸送技術開発に米国と共同で乗り出す計画であることを昨年10月に発表した。カナダ宇宙庁は今年6月、アルテミス計画のための次世代ロボットアーム「カナダーム3(Canadarm3)」開発のため関連企業と契約を結んだと発表した。欧州宇宙機関は昨年11月、ゲートウェイ関連開発に参加するための資金集めに乗り出した。

 トランプ大統領は昨年、「宇宙は全世界の最新戦争領域」と語った。アルテミス合意は「宇宙強国」を掲げる中国に対抗して宇宙開発に関する国際規範を作り、「宇宙同盟」を構築して中国をけん制しようとする米国の構想が盛り込まれている。中国は昨年1月、世界で初めて月の裏側に無人探査機を着陸させている。中国は火星探査を本格化させて、米国・日本・欧州の国際宇宙ステーションとは別の宇宙ステーション建設を計画しているところだ。

 東アジアでアルテミス合意に参加しているのは日本だけだ。米国と日本は既に宇宙軍を作って両国間協力を宇宙にまで拡大することで合意している。アルテミス合意により日米同盟は宇宙同盟としていっそう強固になるだろう。日本の各報道機関はアルテミス合意が今後、日本人宇宙飛行士として初の月面着陸や、民間企業による月資源探査の足がかりになると見込んでいる。韓国はアルテミス計画に招待されていない。

◆米国に対する好感度が高い国1位は韓国、日本は?

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