アフリカのコンゴ民主共和国の近代化について調べてみた。独立記念日を、2020年8月15日の大韓民国光復節のように大荒れの状態で迎える国が他にあるのか知りたかった。色々調べているうちにたどり着いたコンゴで、意外な場面に接した。コンゴは数年前まで、「アフリカの世界大戦」と呼ばれた大規模な内戦が起きていた。新型コロナウイルスばかりか、現在もペストとエボラ出血熱に悩まされている。経済規模は韓国の3%にも満たない。

 6月30日はコンゴの独立60周年だった。アフリカの独立記念日といえば、独裁者のための軍事パレードがまず思い浮かぶ。しかし、コンゴ政府は行事を省略した。浮いた費用をコロナ対策と反乱軍を防御するための費用へと転換した。代わりにこの日を対立と分裂を縫合する機会と考えた。

 新生国家はどこも似たような様相を呈する。コンゴも独立直後、建国の英雄たちの悲劇的な葛藤があった。葛藤の末に殺害された初代首相ルムンバは、殉教者としてあがめられた。現在もコンゴの国民が最も尊敬する人物に挙げられる。ルムンバの一生は西欧で映画化され、コンゴにはルムンバの名にちなんだ村が誕生した。一方、初代大統領のカサブブは同志でもあり政敵でもあったルムンバの死をほう助したとの疑いが持たれ、批判を受けてきた。功績は忘れられた。しかし今回、コンゴのチセケディ大統領が歴史の裏側から招いた人物が、初代大統領のカサブブだ。カサブブをルムンバのような国の英雄としてまつり上げた。カサブブの名前にちなんだ村も造成する。過ちもあったが全てはコンゴの独立のためであり、建国の父というわけだ。

 コンゴが特別なわけではない。ほとんどの国が独立記念日をこのような形で過ごす。イデオロギーの対立は韓国だけの現象ではない。しかし、独立記念日に過去の傷をえぐり、身内同士の争いを起こす滅茶苦茶な国はなかなか見当たらない。政治的利益のために不幸な過去をどこまでも掘り起こすポーランドくらいだろうか。独立記念日がやってくると身内同士でぶつかり合う。ポーランドに対する欧州の接し方は、自身の歴史に対するポーランド自らの接し方ほど薄情ではない。

 インドも8月15日が独立記念日だ。第2次世界大戦終戦から2年後の1947年のこの日、インドは英国から独立して建国した。世界的に8月15日は日帝の敗亡と第2次世界大戦の終戦だけでなく、植民地支配からの解放を祝う日だ。インドは植民地支配されていた期間が長く、搾取と暴政による被害も大きかった。独立当時、インドの建国の指導者たちは植民地時代の二つの大きな残滓(ざんし)をどのように清算すべきか深く悩んだ。英国の帝国主義が移植した英語とクリケットだ。インドの指導者たちはこれらを逆に国家統合の遺産として継承した。

 「ヒングリッシュ(ヒンディー+イングリッシュ)」と呼ばれるインド英語と、国民のスポーツとして定着したクリケットを、植民地時代の残滓と考える人はごく少数だ。クリケットの国際大会で英国を破るとき、インドの国民は歓喜し、一つになる。ヒングリッシュ人口がイングリッシュ人口を圧倒するという見通しも出ている。インドが経済大国として発展すれば、アメリカ英語のようにヒングリッシュが国際標準になる可能性もある。植民地時代の残滓で、多民族・多宗教・多言語の国民を一つにした。インドの統合と発展の象徴かつ手段に進化させたのだ。だからこそインドは大国なのだと思う。

 数年前、インドの首相の独立70周年記念演説を聞いたが、非常に印象に残るものだった。90分以上続いたが、過去を恨むことはなかった。内容のほとんどはインドに対する誇らしさと将来設計だった。大げさなものでもなかった。インド・メディアは「1家庭1トイレ」の約束を主な内容として報じた。今年の8月15日には中国との国境紛争を意識し「インドの主権尊重が最優先」と述べた。しかし、中国を名指しすることはなかった。与党は祖国のスワラジ(独立運動のスローガン)精神をたたえ、野党は国境紛争で犠牲になったインドの将兵に敬意を表した。

 大韓民国は独立記念日の際に誇れるものが世界で最も多い国だ。第2次世界大戦後に植民支配から解放されて建国した国の中で唯一、経済発展と民主主義を同時に成し遂げた。韓国の国民は独立記念日に過去と現在を誇りに思う資格がある。光復節に自分たちを祝うのは、現代史を成功させた大韓民国国民の権利だ。このような国民が、内戦と疾病の歴史に染まった国の国民よりも、独立記念日の過ごし方ははるかに下品だった。独立運動家やその子孫・遺族からなる団体「光復会」の会長だという人物が、独立記念日の祝辞を呪いの言葉で埋め尽くした。大統領はその呪いを聞いても沈黙したままだった。執権党はその呪いに拍手を送り、賛同した。国民を二つに引き裂いた。全ての国の独立記念日について調べることはできなかったが、おそらく大韓民国は地球上でもっとも奇妙な形で独立と建国を記念する国だろう。

鮮于鉦(ソンウ・ジョン)副局長

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