▲今月13日、チン・ヘウォン大邱地検副部長検事は自身のフェイスブックに、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長=当時=と腕組みをして撮影した写真を掲載し、「権力型性犯罪を自首します」「平素から尊敬している方をお見かけして、いきなり駆け寄ってガバっと腕を組むという方法で成人男性にセクハラした」と投稿した。写真=チン・ヘウォン検事のフェイスブックより

 「朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長にわいせつ行為・セクハラ(性的嫌がらせ)を受けた」と訴えた被害者を嘲笑(ちょうしょう)する文をフェイスブックに投稿した大邱地検のチン・ヘウォン部長検事に対して、韓国女性弁護士会が15日、大検察庁に公文書を送り、懲戒処分を要求した。韓国女性弁護士会は「チン検事は公務員とは信じがたいほど検事としての品位を著しく損ない、被害者に深刻な2次加害をした。軽薄な言葉で国民に対する礼儀をないがしろにした」としている。韓国女性弁護士会が特定の検事に対して懲戒処分を求めたのは前例のないことと見られる。

 チン検事は13日午後6時、フェイスブックに自身が朴前市長らと腕を組んでいる写真を掲載して、「権力型性犯罪を自首します。大人の男性2人に同時にわいせつ行為・セクハラをしました」と書いた。そして、「腕を組むのもわいせつ行為ですか?」「女性がわいせつ行為だと主張すればわいせつ行為だから!」と書いた。さらに、ジュリアス・シーザー(カエサル)の暗殺に言及して、「私たちにとって大切な一人の英雄(朴前市長)を見送りつつ、ジュリアス・シーザーのことを思う市民は私一人だけではないだろう」とも投稿した。

 15日未明のフェイスブックの投稿では、朴前市長を謀略にはめられて死んだギリシャ悲劇の主人公「ヒッポリュトス」に例えた。チン検事は「事実関係は、枠組みを作り、物量攻勢を動員した電撃戦に走るからといって確定するものではない」と朴前市長を支持した。これをめぐって、検察内部からは「チン検事と同じ検事(という立場)であることが恥ずかしい」という反応まであった。

 

 チン検事に懲戒処分を下すかどうかは、大検察庁監察部でその内容を確認した上で決められる。「チャンネルA記者強要未遂疑惑事件」などをめぐって尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長と対立してきたハン・ドンス大検察庁監察部長がこの件を監察に付すのか疑わしいという見方もある。ある現職検事は「親政権性向であることで知られるハン部長が、朴前市長を一方的に擁護したチン検事を監察しろというだろうか」と話す。チン検事は済州地検に勤務していた2017年、詐欺容疑で取り調べを受けていた被疑者の生年月日をインターネットの四柱八字(占いの一種)プログラム「万歳暦」に入力し、その結果を示して「弁護士があなたと相性が合わないので弁護士を変えなさい」などと述べ、検事としての品位を損なったとして、昨年4月に法務部からけん責懲戒処分を受けている。

 これまで性犯罪事件が発生するたびに声を上げてきた検事たちも、今回の件に限っては沈黙している。2018年に検察内の「MeToo(性暴力被害の告発)」運動に火をつけた徐志賢(ソ・ジヒョン)検事は「パニック障害のため一言話すのも難しい」と、イム・ウンジョン蔚山地検部長検事は「生業が忙しく、攻撃されるのが怖い」と言葉少なだ。「性犯罪は『一度捕まったら終わりだ』という認識を定着させる」と言っていた秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官も何もコメントしていない。

ホーム TOP