故・朴元淳(パク・ウォンスン)元ソウル市長の息子、パク・チュシン氏は、今月11日に韓国へ入国した後、空港からソウル大学病院葬礼式場へ直行して3日間にわたり喪主役を務めた。このことに関連して、検疫・入国の過程で特別待遇を受けたのではないかという疑惑が持ち上がっている。一般市民は、海外からの入国者の場合、自宅隔離免除者であってもコロナ拡大危険施設である病院の葬礼式場へ入場したり滞在したりするのは事実上困難な状況の中、朴市長の息子は可能だった-という指摘が出ているからだ。

 まず、チュシン氏の検疫・入国手続きがほかの人より早く進められたという疑惑が持ち上がっている。疾病管理本部(疾本)の原則では、海外入国者は2週間、義務的に自宅隔離をしなければならないが、直系尊属・卑属や兄弟姉妹が死亡したときは人道的観点から自宅隔離免除を受けることができる例外条項がある。コロナ19「隔離免除書」によると、自宅隔離免除のためには入国して直ちに臨時隔離施設で1泊2日過ごし、検査を受けなければならない。しかしパク氏は11日午後2時に仁川国際空港へ到着し、わずか6時間後の午後8時40分ごろ、ソウル大学病院葬礼式場に入った。

 また自宅隔離免除者であっても、コロナ拡大危険施設である病院の葬礼式場に3日間も滞在する喪主の場合、海外入国かどうか念入りに確認するとともに、防護服の着用や滞在時間の制限など複雑な手続きを踏まえなければならない。とりわけソウル市内にある大学病院の葬礼式場の場合、原則上は海外入国者が病院に入ったり滞在したりすることを許していない、と伝えられている。この日の韓国日報によると、ある女性は先月上旬、ソウル市内のある大手総合病院葬礼式場において一人で母親の出棺式を執り行ったという。海外に居住する姉・兄と共に執り行うべきだったが、ソウル市内の大学病院4カ所から「海外入国者は病院に滞在できない」という回答があったという。

 この女性は病院側に例外条項のことを話したが「自宅隔離を免除されていることと、病院に入ることは別の話」という回答があったという。もし海外から入国した事実を告げずに葬礼式場を利用し、後になって確定患者が発生したら、病院閉鎖に伴う損害賠償を請求すると脅してくる病院まであったという。この女性は「ある大学病院では、防護服を着用するなら20分間の入場が可能と言っていたが、手続きがあまりに大変なので諦めた」と語った。

 このため、最近葬儀を執り行った人々の間からは「自宅隔離免除でも新型コロナ拡大危険施設である病院の葬礼式場の場合、一般市民は入場できないにもかかわらず、パク市長の息子はできた」という批判の声が上がっていると伝えられている。ソウルの大学病院関係者は、韓国日報に「自宅隔離免除は、直ちに喪主ができるという意味ではない」とし「韓国の病院では現在、防護服を着たまま、納棺の30分程度のみ葬礼式場への入場を許している」と明かした。

 パク・チュシン氏が病院側から特別待遇を受けたという疑惑を巡り、ソウル大学病院側は、チュシン氏の式場入場および喪主の役割に問題はない、という立場だという。ソウル大学病院の関係者は、韓国日報に「喪主が海外からの入国者か自宅隔離者か、われわれにどうやって分かるのか」とし「そういう事項は確認していない」と明かした。

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