【新刊】ブラッド・グロッサーマン著、キム・ソンフン訳『ピーク・ジャパン』(キムヨン社刊)

 1980年代末にバブルがはじけたことで始まった日本の長期不況は、21世紀に入って回復の兆しを見せた。しかし「失われた10年」では終わらず、現在まで続いている。米国の東アジア国際戦略アナリストの著者は、その理由として米国発金融危機、民主党政権、中国との領土対立、東日本巨大地震の「4大ショック」を挙げている。

 世界の富の16%を占めていた巨大な経済、組織化された既得権、日本特有の政治リーダーシップと資本主義メカニズムは、一時は日本の発展の原動力だったが、金融危機へ対応する際には足を引っ張った。折しも発足した民主党政権は経験不足をあらわにし、わずか3年で退陣した。中国との間で起こった領土対立に敗北したことで、もはやアジアの先導国家ではないという事実が明白になり、東日本巨大地震の後、日本国民は政府を信頼しなくなった。著者は、日本の全盛期は過ぎ去り、二度と大きな野望を抱くことはできないという見解を示す。韓国も「失われた30年」の入り口に立ったという警告を耳にする。失敗の轍(てつ)を踏まないため目を通すべき一冊。428ページ、1万9800ウォン(約1760円)。

金泰勲(キム・テフン)記者

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