北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長が、開城の南北共同連絡事務所を爆破した容疑で韓国で告発された。法務法人「東北亜」のイ・ギョンジェ弁護士は8日、金与正氏と朴正天(パク・チョンチョン)北朝鮮軍参謀総長を爆発物使用、公益建造物破壊の容疑でソウル中央地検に告発したと明らかにした。

 イ弁護士は告発状で、金与正氏が連絡事務所の爆破を指示したと公言しており、メディアの報道や韓国統一部の発表などからも十分な証拠が確保されていると主張した。

 その上で「南北の平和統一のためにテロなど暴力的な手段を動員するのは禁止されるべきだ。この犯行を厳重に処断し、別の暴力を阻止しなければならない」と説明した。

 北朝鮮は先月16日、連絡事務所を破壊し、同日中に朝鮮中央放送などを通じてこれを発表した。連絡事務所は2018年4月の南北首脳会談の後「板門店宣言」に基づいて同年9月に開所した。

 韓国の刑法は、爆発物を使用して人の命や身体に害を与えた場合には死刑、無期懲役または7年以上の懲役刑で処罰するよう定めている。

 しかし、実際に金与正氏を処罰するのは容易ではないとみられる。関係者の調査や証拠収集が不可能なため、検察が「起訴中止」処分を下す可能性が高い。

 イ弁護士は、朴槿恵(パク・クンヘ)政権の「影の実力者」だったチェ・ソウォン(改名前は崔順実〈チェ・スンシル〉)氏を一審から弁護士してきた。ただし今回の告発はチェ氏とは関係がなく、イ弁護士が個人的に行ったものだという。チェ氏は最近、懲役18年と罰金200億ウォン(約18億円)が確定した。

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