カタールの液化天然ガス(LNG)タンカー受注競争で現代・大宇・サムスンの韓国造船3社が100隻を受注した。23兆ウォン(約2兆700億円)を超える契約を巡り、最後まで韓国と争ったのが中国の滬東中華造船だ。同社は中国最大の国営造船会社、中国船舶工業集団(CSSC)の子会社で中国で唯一LNGタンカーを建造している。韓国に先立ち、4月22日にカタール側とLNGタンカー16隻の建造契約を3兆4000億ウォンで結んだ。ただ、1回戦での勝利の余韻は長続きしなかった。契約金額が6倍も多い2回戦では韓国メーカーに惨敗した。

 韓国メディアは世界のLNGタンカー市場の80%を占める韓国企業の圧倒的技術力を称賛した。1回戦で滬東中華造船が勝利したのは、「低価格と中国政府の資金支援のおかげだ」と伝えた。世界でLNG輸入量が世界最多の中国をカタール政府が無視できなかったという解釈も付け加えた。

 韓国の勝利に対する中国の反応が気になった。地団駄を踏んでいる感じだった。記事ごとに登場する単語は「逐鹿」だった。元々は「鹿を追う」という意味だが、支配権を争うことを意味する。「中韓企業、LNGタンカー市場を逐鹿」と題した記事は「中国と韓国の格差はLNGタンカーの建造技術だけではない。関連部品分野に資金を投資すべきだ」と書いた。別の記事は「韓国との『逐鹿中東(中東を争う)』で勝つためには、一帯一路(中国の陸と海のシルクロード構想)を積極活用すべきだ」と指摘した。

 中国造船業界による追撃は既に始まった。滬東中華造船は昨年、世界最大規模の27万立方メートル級のLNGタンカーの建造を開始した。21年には現在、黄浦江沿いにある老朽化した造船所を長興島に拡張移転する。同社は今後モザンビーク、ロシアのLNGタンカー受注でも韓国造船3社と競合する見通しだ。滬東中華造船の親会社、中国船舶工業集団の雷凡培会長は「これからは追撃者ではなく、リーダーになる」と宣言した。

 中国には数年以内にLNGタンカーを建造する第2、第3の滬東中華造船が生まれる。中国メディアによれば、主にコンテナ船を建造してきた江蘇揚子江船業集団は昨年、日本の三井物産、三井E&S造船と合弁会社、江蘇揚子三井造船を設立した。2022年に中型LNGタンカーの建造から参入する計画だ。中国船舶工業集団も昨年、傘下の6つの子会社や研究所を通じ、超大型LNGタンカーの設計、開発に着手した。

 青瓦台は韓国企業のカタールからのLNGのタンカー受注が発表されると、「韓国の造船会社の技術力が最高である事実が立証された」「文在寅大統領と政府が繰り広げた経済外交の結実だ」と論評した。中国企業は「韓国克服」を誓っている。手放しで喜んでいる場合ではない。

パク・スチャン北京特派員

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