第5世代(5G)移動通信システムを世界で初めて商用化した韓国の通信キャリア3社のメンツが傷ついた。韓国通信各社の5Gサービスの接続速度が米通信最大手ベライゾンの半分にも満たないことが分かったからだ。韓国ではまだ28ギガヘルツ帯の電波が利用できないことが原因だ。

 英国の無線通信サービス市場調査会社、オープンシグナルが5Gを商用化している米国、韓国、英国、オーストラリアの通信キャリア10社を対象に1月末から3カ月間、5Gサービスの平均速度(ダウンロード基準)を測定した結果、米ベライゾンが506.1メガビット毎秒(Mbps)で最速だったことが分かった。以下、韓国勢が2-4位を占め、LGユープラス(237.8Mbps)、SKテレコム(220.6Mbps)、KT(215.0Mbps)の順だった。いずれもベライゾンの半分以下の速度だった。ただ、速度だけでなく、接続時間などを考慮した総合的な5Gサービス品質を比較すると、全般的には韓国が最も高い水準にあると分析された。

■周波数の差が速度の差を生む

 通信キャリアによって、5Gの接続速度と接続可能時間に差が出るのはサービスに使われる周波数に違いがあるからだ。オープンシグナルによると、5G専用の周波数帯である28ギガヘルツ帯(ミリ波)をサービスに使用しているのはベライゾンだけだという。一般的に電波は周波数が高いほど、伝送できるデータ量も増える。

 SKテレコム、KT、LGユープラスなど韓国の通信キャリアは昨年、5Gサービスを開始するに当たり、28ギガヘルツ帯を除き、第4世代(4G)よりもやや高い3.5ギガヘルツ帯、いわゆるミッドバンドの周波数だけを使用してきた。このため、韓国の5Gサービスを巡っては、サービス開始初期から「速度が出ないのではないか」とする指摘があった。消費者の間からも「5万-10万ウォンという高い料金を払ってもまともに5Gの性能を享受できずにいる」という不満が相次いでいる。

 最も速度が劣る米AT&T、Tモバイルは850メガヘルツ帯、600メガヘルツ帯のローバンドを使用している。周波数が低いとデータ伝送速度は遅くなるが、5Gの電波が障害物に妨げられずに遠くに届くというメリットもある。

 韓国の通信各社は早ければ今年下半期から28ギガヘルツ帯を利用した5Gサービスを構築する予定だ。サービスが始まれば、韓国の通信各社の5G平均速度も500Mbps以上に高まる見通しだ。

■「総合的な5G品質は韓国が優秀」と主張

 韓国の通信キャリアはそれでもベライゾン以外の海外通信各社よりは5Gサービスの速度が速いことが分かり、「世界初の5G国家」の体面は保たれた。5位のテルストラ(オーストラリア)は平均サービス速度が157.0Mbpsで、4位KTの73%にとどまった。欧州を代表する通信キャリア、英ボーダフォンは122.1Mbpsで7位にとどまり、米AT&Tは62.7Mbpsで9位、米Tモバイルは47.0Mbpsで最下位だった。AT&TとTモバイルの5G速度はSKテレコムの4G平均速度(63.7Mbps)も下回った。

 一方、加入者が5Gサービスに接続可能な平均時間を測定したところ、正反対の結果が出た。速度が最も遅いTモバイルが使用時間全体の19.8%でトップ。速度1位のベライゾンは0.5%で最下位だった。ベライゾンの場合、500Mbpsという超高速5Gを実際に利用できる時間は24時間で7.2分にすぎない。韓国勢ではSKテレコムが15.4%で2位、LGユープラスが15.1%で3位、KTが12.6%で4位だった。韓国では24時間のうち5Gサービスを3-4時間利用できることになる。

 速度と接続時間を含む全体的品質でいずれも最上位圏に入ったのはSKテレコム、KT、LGユープラスという韓国通信3社だけだった。業界は「総合的な5G品質は韓国が最も高いことを示している」と主張した。

チョン・チョルファン記者

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