金融・財政
通貨危機レベルにまで上昇した韓国の財政赤字比率、実弾は残っているのか
相次ぐ追加補正予算の編成で韓国の政府財政は健全性が著しく損なわれる懸念が高まっている。最大野党の未来統合党は「第3次追加補正予算を組めば、政府債務が大きく膨らむ」と指摘した。
国会予算決算特別委員会の金在原(キム・ジェウォン)委員長(未来統合党)は30日、第2次追加補正予算案は国債の発行規模が3兆4000億ウォン(約3000億円)程度で決着したが、第3次追加補正予算は少なくとも30兆ウォン以上の規模に達するとし、「大半を国債の発行で賄えば、今回発行した国債の10倍ほどの規模になる可能性がある」と述べた。張済元(チャン・ジェウォン)国会議員(統合党)は「すぐに第3次スーパー追加補正予算を準備するというが、政府債務が1700兆ウォンに迫り、国債が占める割合が45%を突破する。誰も責任を取らないだろうし、結局は国と国民が責任を取るしかない」と述べた。
既に第2次追加補正予算で財政赤字の対国内総生産(GDP)比は通貨危機当時の水準(4.6%)まで上昇した。今年の管理財政収支の赤字は第2次追加補正予算で82兆ウォンから89兆4000億ウォン(対GDP比4.5%)にまで膨らんだ。管理財政収支は政府の歳入から歳出を差し引き、国民年金基金など社会保障性基金の収支を除外したもので、1年間の政府の財政事情を示す指標だ。
仮に第3次追加補正予算が30兆ウォン規模で編成され、それに伴い赤字が増大すれば、管理財政収支の赤字はGDPの6%に達する。企画財政部は昨年、管理財政収支の赤字を2019-23年は平均で対GDP比3%台半ばで管理すると表明していた。
今年度の本予算でみた政府債務は805兆2000億ウォンで、対GDP比は39.8%に達すると予想されていたが、第1、2次追加補正予算で当初予想を上回る41.4%まで上昇した。初めて40%の大台を超えたことになる。仮に第3次追加補正予算の編成に必要な30兆ウォンの全額を国債発行で賄うとすれば、今年の政府債務比率は42.9%まで上昇し、23年には50%に迫ると見込まれる。
一方、与党共に民主党関係者は、第3次追加補正予算について、「新任の院内指導部が推進する事柄だ」とし、「まだ政府案の提出もない段階なので、財源問題は話し合われていない」と語った。大規模な赤字国債の発行が避けられない状況にもかかわらず、問題には触れようとしない。
檀国大の金兌基(キム・テギ)教授は「財政危機を経験したイタリアなど南欧の国々が新型コロナウイルスで大打撃を受ける状況を見たとき、財政余力を維持しなければ、韓国も危機状況に対応することは難しいという教訓を得るべきだ」とし、「急激な高齢化などの課題を解決するためにも財政の効率的な投入が求められる」と指摘した。