社説
【社説】選挙工作、チョ・グク不正の被告人らを当選させた有権者の選択
4・15総選挙で当選した黄雲夏(ファン・ウンハ)前蔚山地方警察庁長は、蔚山市長選挙工作事件の核心被告人だ。黄氏は文在寅(ムン・ジェイン)大統領の30年来の友人である宋哲鎬(ソン・チョルホ)蔚山市長を当選させるため、青瓦台(韓国大統領府)の下命を受け野党候補が公認を受けた日に事務所の家宅捜索を指示した。蔚山庁長になると同時に野党所属の市長周辺を洗い出し、捜査をためらっていた警察官を捜査チームから外した。捜査状況を随時青瓦台に報告しつつ、被疑事実は全てリークして報道させた。選挙工作の行動隊長という容疑も持たれている。同じく今回の選挙で当選した韓秉道(ハン・ビョンド)前大統領政務首席秘書官は、宋市長の党内の公認競争者に別の公職を提案し、買収しようとした容疑で起訴された。二人の容疑が摘示された検察の訴状を読んだ民弁(民主社会のための弁護士会)所属の弁護士は「犯罪の類型は3・15不正選挙(1960年)に近い」との見方を示していた。
チョ・グク氏の息子が関係する入試不正に加担した容疑で裁判を受けていた崔康旭(チェ・ガンウク)青瓦台公職紀綱秘書官も与党勢力の比例政党候補として当選した。崔氏は弁護士時代に、虚偽のインターン確認書を(チョ・グク氏に)手渡し「合格の助けになれば幸いです」と述べたという。チョ・グク氏が民情首席に就任すると、公職紀綱秘書官に抜てきされた。虚偽の確認書で官職を買ったと言わざるを得ない。つい先日にはチョ・グク事件と蔚山選挙工作事件を捜査した「尹錫悅(ユン・ソクヨル)検事チーム」を空中分解させる人事にも関与した。
黄雲夏氏は当選が決まった直後「検察改革が喫緊の課題」と述べた。崔康旭氏も選挙期間中「尹検事総長はわたしに対する不意打ち起訴を含み、法に背いたのは1回や2回ではない」として「高捜処(高位公職者犯罪捜査処)で取り扱うしかない」と指摘した。高捜処が発足すれば、尹総長が最初の捜査対象の一人になるということだ。3人の当選者は被告として裁判を受ける可能性が高い。有権者の選択は尊重すべきだが、これで問題ないのかという疑問を拭い去るのは難しい。