国際総合
東京五輪メーンスタジアム、あちこちにデタラメ「ジャパングリッシュ」表示
7月に予定されている東京五輪の開会式・閉会式や主な競技が行われる五輪メーンスタジアム「国立競技場」のあちこちに設置されている英語表示板が俎上(そじょう)に載った。建設に1569億円投入された日本の国立競技場に、語法に合わなかったり、ネイティブ・スピーカーに分かりにくかったりする「ジャパングリッシュ」(Japanglish=日本式の英語表現)が多いためだ。
英紙フィナンシャル・タイムズのレオ・ルイス日本特派員は、国立競技場のあちこちにある「ハロー、アワー・スタジアム」(HELLO, OUR STADIUM)=写真=と書かれた表示板の写真をこのほどツイッターに掲載した。新しい国立競技場のお披露目を祝うという意味の表示板だが、「ハロー、アワー・スタジアム」と書くのはネイティブ・スピーカーにとってかなり不自然だという。北九州市立大学のロッシェル・カップ教授は「『ハロー、ニュー・スタジアム』(こんにちは、新しい競技場)」や「セイ・ハロー・トゥ・アワー・ニュー・スタジアム」(私たちの新しい競技場にこんにちはとあいさつしてください)などの表現の方が自然だろう」と話す。国立競技場の冷水器に書かれた「プリーズ・プッシュ・ジ・アンダー・ボタン」(Please push the under button)は語法上、「プリーズ・プッシュ・ザ・ボタン・ビロウ」(Please push the button below)とすべきだとのことだ。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルのアラスター・ゲイル日本特派員は「休憩スペース」を英語で「カーム・ダウン、クール・ダウン」(Calm down, cool down=落ち着いて、頭をちょっと冷やして)と書いたものや、3階の観客席を日本式の表現通り「3階スタンド」(stand)と表現したものも不自然だと指摘した。英語で「3階」という意味の「サード・ティア」(third tier)の方がいいということだ。ゲイル特派員は、「情報の庭」と名付けられたあるイベント・スペースを日本語の発音通り「ジョウホウノニワ」(Joho no niwa)とアルファベット表記した表示板の写真もシェアし、「発音しやすいのはいいかもしれないが、理解はできない」と書いている。
CNNはこれを「イングリッシュ」(Engrish)と呼んでいる。「r」と「l」の発音が区別できない非ネイティブ・スピーカーの英語のことだ。CNNは26日(現地時間)、「日本では英語がデザインの要素として使われることが多く、大多数の日本人は英語が正しく表記されているかどうか気にもとめない」と伝えた。