社会総合
「貧民のレッテルを貼るのか」…『映画『パラサイト』で観光地化にアヒョン洞住民らため息
ソウル観光財団のツアーコースに指定
住民ら「観光地としてPRするのは不適切」
「うわあ、実際来てみたらほんとにみすぼらしいね」
2月17日午後、ソウル市麻浦区アヒョン洞の住宅街を訪れた映画監督志望のクォンさん(24)は、急な坂道や階段を見ながらこのように慨嘆した。クォンさんは「色あせた建物の外壁、狭い住宅の出入り口など、貧民街のいたるところにある」として「映画の舞台がセットではないというのに驚いた」と語った。ここの階段は、映画『パラサイト 半地下の家族』(以下『パラサイト』)で、空になったパク社長(イ・ソンギュン)宅に入り込んで遊んでいた主人公ギテク(ソン・ガンホ)一家が、社長一家の帰宅に驚いて抜け出した後、自宅の半地下室へ向かう道として通った場所だ。
ソウル市とソウル観光財団は2月13日、この道を含むアヒョン洞一帯を舞台に「映画専門家と共に行くFam Tour」を開催したいと発表した。いわゆる「パラサイト・ツアーコース」だ。麻浦区庁も、ギテク一家の長男ギウ(チェ・ウシク)が友人ミニョク(パク・ソジュン)と酒を飲んでいた「テジ・スーパー」前にフォトゾーン(記念撮影区域)を設置する予定だ。映画でのようにパラソルやテーブル、椅子を配置したいという。麻浦区庁の関係者は「観光客のため、近くのトイレやレストランの案内板も立てる計画」と語った。
だが当の住民の間からは「自治体や公共機関がわれわれに貧民層とレッテルを貼った」という声が上がった。17日に会ったある住民(37)は「ある観光客は『ここはほんとに人が住んでるのか』というようなことまで言った」として「世界的な観光地になっているが、世界の人々は、私たちがどれほど貧しい暮らしをしているか見に来るというのか」と語った。別の住民は「このごろは、外に出ると人々がカメラを私たちに向けて街を撮っている。気分はあまり良くない」と語った。ある不動産業者は「観光コースの紹介に『アヒョン洞』はしっかり付いている」として「マンションを売りに出す顧客が『パラサイトのせいで売れないんじゃないか』と尋ねてくる」と語った。
ソウル観光財団の関係者は「映画で『貧しい街』として描かれたのは、階級対立を見せるための装置というだけで、観光客には『映画に出てきたロケ地』くらいに説明する」とコメントした。