あと200日。地球最大のスポーツの祭典「第32回夏季オリンピック競技大会」が今年7月24日から8月9日までの17日間、隣国の首都・東京で開催される。

 日本はオリンピックに成長を夢見る。1964年の日本で初の五輪大会が戦後日本の経済回復を全世界に知らせるきっかけだったとすれば、2回目となる今回の五輪大会は20年以上続いた長期不況や2011年の東日本大震災の傷から抜け出す跳躍台と言えるだろう。日本の安倍晋三首相は「躍動感あふれる新しい日本を世界に披露する」と語った。

 本紙は、先月15日に行われたしゅん工式の日、韓国メディアでは初めて新しい国立競技場を現場で見て回った。巨大な鳥の巣に似た木造スタジアムの滑らかな木の風合いが今年の夏、全世界から訪れる観戦客を待つ興奮を内に秘めていた。この国立競技場は、56年前に東京五輪が行われた以前の国立競技場(国立霞ヶ丘陸上競技場)を壊して新たに建てられたものだ。当時の壁画の一部と聖火台が新国立競技場の門に残っており、以前の大会の遺産であることを強調している。

■木で造られた神々の祭典の場

 東京オリンピック開会式・閉会式と陸上競技が行われる国立競技場は、都心の森の中にあるもう一つの森のようだった。明治神宮外苑にあるこの国立競技場は、内部の材料から外観に至るまで木で造られている。国立競技場の建築のテーマは「杜(もり)のスタジアム」だ。普通は「もり」と言えば「森」という漢字を使うが、ここでは「杜」という漢字が使われている。この漢字は単なる「森」ではなく、神社を取り囲む木立、または神社そのものを意味する。古代の日本人は杜が神のための領域であり、天の神が祭りの期間中に杜に降りてきて人間の祭りを楽しむと考えた。オリンピアンたちは人間の肉体の限界を超えて神の隊列に近づこうとする存在であり、スタジアムをこれらの人々のための神社として作り、盛大な祭典を開くという意味が「杜」という1文字に込められている。スタジアム最上部の5階に相当する部分には四季の花や草を植えた全長850メートルの回廊がある。名前は「空の杜」だ。

 木材は天井・柱・外壁など国立競技場の目につく至る所にあった。国立競技場を管理・運営する日本スポーツ振興センター(JSC)の関係者は、沖縄から福島、北海道まで日本各地のスギ・イブキ・マツをすべて集めて造ったと説明した。木材になった森の面積はなんと2000平方メートルだ。国立競技場を設計した日本人建築家の隈研吾氏は「1400年以上の歴史を誇る日本最古の木造建築物・法隆寺のように、木材は日本の伝統を象徴し、周囲の景観と調和を成す最高の素材だ」と言う。

■聖火点火はどこで?

 全世界のメディアにお披露目されたメインスタジアムにはあるべきもの二つがなかった。まず、聖火台がスタジアムにいない。これまでの夏季五輪は聖火台をすべてスタジアム内に設置していた。しかし、今回は建築家が考慮しておらず、日本の消防法も木造建築物の中に火気設備を設置することを禁じている。このため、聖火の点火方式も推測が難しくなった。スタジアムには屋根もない。その代わり、天井に長さ60メートルの木の板をピアノの鍵盤のように広げて囲んでいる。板の間の空間で通気性や日照量を調節する。梁や配管も板の間から出ている。JSC関係者は「露出型設計なので修理する個所を探しやすく、管理費節約に役立つ」と説明した。国立競技場は当初、イラク出身の女性建築家ザハ・ハディド氏=故人=の設計案が採用されたが、高額の工事費(約2520億円)が問題となり、2015年末に隈研吾氏の設計案(工事費約1569億円)に変更され、3年で建てられた。屋根がなく雨風が吹き込めば施設利用が難しく、木材が変質する恐れがあり、今後の維持費がかなりかかるだろうとの批判もある。

 国立競技場4階相当部分の観覧席に入ると、既に人がいっぱいいるような印象を受けた。6万席あるスタジアムに5色(茶・深緑・黄緑・黄・白)のいすをモザイクのように配置した効果だ。特に陸上トラックと近い1階部分周辺には茶色を、上に行くほど白を多く配置して、木漏れ日のような印象を与えている。JSC関係者は「観客がいない練習時間でも選手たちが満員の時の興奮を感じられる」と説明した。視界も広い。地下2階に相当する陸上トラックを4階部分から見たが、ゴールラインが手に届くように感じられた。1層スタンド(1階)が20度、2層スタンド(2階・3階)が29度、3層スタンド(4階)が34度というように、層が上がるにつれて角度が急になっているためで、すり鉢の形から設計のアイデアを得たという。

 JSC新国立競技場設置本部の高橋武男総括役は「スタジアムの隅々までディテールに集中した点では世界最高水準だ」と語った。

 東京の夏は「サウナ猛暑」と悪名高い。このスタジアムは屋根がなく、エアコンをつけることができない。JSC側は「スタンドの外の通路にミスト(噴霧器)を2メートル間隔で設置し、気流を作り出すファン(送風機)185台を設置しているので夏でも暑くない」と主張した。しかし、具体的な気温の変化予想は提示していない。当初、東京で大会最終日に行われる予定だった男子マラソンは猛暑のため早朝に開催するとしていたが、最終的には東京ほど暑くない北海道で行われることになった。

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