もともと主体思想海外普及のための基金、金正恩委員長の統治資金として活用

 北朝鮮で麻薬取引や脱北など重罪を犯した人々が、主体思想を全世界に普及させるために作られた「金日成(キム・イルソン)・金正日(キム・ジョンイル)基金」に金銭を献納することによって減刑または赦免される事例がかなりあることが18日、明らかになった。対北朝鮮制裁の長期化で経済難に陥っている北朝鮮当局が、外貨を確保するため「金日成・金正日基金」を「免罪符基金」として利用しているとの見方が出ている。

 これは北朝鮮消息筋が同日、「最近、両江道恵山市で麻薬の大量販売・服用により15年の刑を言い渡された服役していた受刑者が『金日成・金正日基金』に数万ドル(数百万円)を献納して量刑を3分の1に減刑されたうえ、特別赦免まで受けた」と語って分かったものだ。

 別の消息筋は「中国で強制送還された住民も『金日成・金正日基金』に金を出して釈放された。献納額によっては殺人も減刑されることがある」と言った。消息筋は「基金にささげる金銭の出どころは問われない」と話す。

 「金日成・金正日基金」は、かつての「国際金日成基金」を金正日総書記死去の翌年である2012年に拡大・改編したものだ。主体思想の普及など、海外の親北朝鮮勢力の後援を目的としているが、実際には金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の統治資金として活用されているという。長年にわたり朝鮮労働党の宣伝・扇動政策を総括し、「北朝鮮のゲッベルス」と呼ばれている金己男(キム・ギナム)元朝鮮労働党副委員長が同基金の委員長を務めている。

 北朝鮮当局は主に海外にある外交公館、貿易会社、飲食店などを対象に基金への納付を促してきた。貿易業に携わっていたことのある脱北者A氏は「外国に派遣された貿易関係者はこの基金に納付する金銭のために頭を痛める」と語った。

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