南北関係
金剛山施設撤去、韓国政府は北の要求を受け入れるのか
韓国統一部「再利用が不可能な一部施設の整備を検討」
韓国統一部(省に相当)は29日、「金剛山観光地区で再利用できない一部施設を整備する方策を検討している」と明らかにした。北朝鮮はこれまで金剛山にある韓国側の施設を撤去するよう要求してきたが、統一部の発表はこの要求を一部受け入れたものと解釈されている。
韓国統一部の金銀漢(キム・ウンハン)副報道官はこの日行われた定例のブリーフィングで「現在、韓国側は再利用が不可能な温井里あるいは高城港周辺の仮設物から整備する方策を考えている」と述べた。これは「統一部は施設の撤去を検討していないのか」との質問に答えたもの。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が先月23日「金剛山の南側(韓国)施設を撤去せよ」と指示したことを受け、複数の韓国政府高官が「観光再開」を前提に老朽化した一部施設のメンテナンスの必要性に言及してきたが、その具体的な対象が語られたのは今回がはじめてだ。金副報道官の発言は、北朝鮮の要求通り「韓国からスタッフや費用を投入して一部施設を撤去できる」という意味にも受け取られている。しかしこれらの施設は現代峨山の私有財産であるため「韓国政府は企業の財産権保護を怠り、北朝鮮の言いなりになるのか」との指摘も相次いでいる。
韓国政府がこの日言及した温井里には「離散家族面会所」「温井閣東館」「九龍マウル」「文化会館」などの施設がある。また高城港周辺には「金剛キャラバン」「金剛ビレッジ」、船舶を使って建設した「海金剛ホテル」などが存在する。とりわけコンテナを利用した金剛ビレッジと九龍マウルは各所に錆が目立つなど、すでに老朽化しているという。金正恩氏は先月金剛山を視察した際、コンテナを使った宿泊施設について「災害地域や建設現場か」などと侮辱した。「コンテナの宿泊施設をどうするか北朝鮮側と協議したのか」との質問に金副報道官は「引き続き協議を行っているが、今の時点で具体的な内容を明かすことはできない」と説明した。
韓国政府は金剛山地区の一部施設を今後どのように撤去するかについて、現代峨山とも緊密に意見交換を行っているという。金副報道官は「北朝鮮が問題提起した内容を含め、将来における金剛山観光地区発展の方向性を幅広く議論する考えだ」と述べた。