偏向教育で論議を呼び、最近教育庁が「特別奨学士」(現場教育実践を指導する教育公務員)による事実確認を行った仁憲高校(ソウル市冠岳区)で政治的偏向教育を最初に問題提起した3年生の生徒、チェ・インホさん(18)が校内暴力問題を審議する「学校暴力対策自治委員会」にかけられたことが分かった。チェさんの暴露映像の背景に映っていた生徒から「名誉毀損」との申告が寄せられたためだという。チェさんは「モザイク処理で識別が不可能な映像だ」と反論している。

 仁憲高は「チェさんが他の学生の名誉を毀損したかどうかを判断する」とし、26日の同委に今回の案件を上程した。学校関係者によると、チェさんが政治的偏向教育の証拠として、10月18日にユーチューブ、フェイスブックに掲載した校内行事の映像に映った一部の生徒が問題を提起したためだという。学生らは「許可なく映像を大衆に公開したことを謝罪し、映像を削除すべきだ」と要求しているとされる。

 チェさんは同委には出席せず、「弁護士同席で陳述したい」とし、同委を来月まで延期するよう要求した。学校側は同委でチェさんに対する懲戒に関する議論があったか、チェさんの延期要求を受け入れるかどうかなどについて、本紙の質問には「答えられない」としている。

 チェさんは「映像に登場する全ての人物をモザイク処理して投稿したにもかかわらず、何が名誉毀損で何が校内暴力なのか納得できない。公益のための情報提供を校内暴力と見なすことは、問題を提起した生徒に学校側が圧力を加えようとする別の意図があるのではないかと思う」と反発している。チェさん側の張達寧(チャン・ダルヨン)弁護士は「顔を全てモザイク処理したため、名誉毀損は成立しない」と主張した。チェさんは自分を同委に通報した生徒を「集団いじめ」の疑いで逆に通報した状況だ。

 問題となった映像は1年生のAさんが撮影したものだ。映像にはランニング行事で教師が「日本強制侵略に反対する」というスローガンを先に叫び、生徒らに唱和させる様子、生徒が「安倍自民党は滅びる」「倍返ししよう」などという反日スローガンを叫ぶ様子が映っている。教師と生徒はモザイク処理されており、画質も鮮明ではなく、顔は容易に識別できない。チェさんが映像公開に当たり、他の生徒20人余りと共同で「仁憲高の生徒は政治のおもちゃではない」というタイトルの声明を発表したことが騒動の始まりだった。

 生徒らによると、Aさんは映像を公開して以降、教師を擁護する生徒らから集団でいじめを受けたため、転校手続きを進めている。加害生徒はAさんの机に「お前のせいで仁憲高が悪口を言われている」「学校を台無しにした」などと落書きをし、クラスの活動でも無視されたという。同校の生徒は「Aさんしたことと同じ行為をチェさんにもやっている」と話した。

 仁憲高はチェさんに関する学校暴力対策自治委の開催について、「手続き上の問題はない」との立場だ。現行の学校暴力予防法が暴行、傷害のほか、名誉毀損、侮辱なども校内暴力と規定しているからだ。同校関係者は「生徒が校内暴力問題を提起した場合、『明らかに校内暴力とは言えない場合』ではない限り、委員会を開かなければならない。チェさんの事案についても、学則と教育庁の校内暴力規定に従い、公正に処理している」と説明した。

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