経済総合
「平和経済はSF小説、所得主導成長は寝言」
「平和経済という空想科学小説のようなことを言うのはやめ、現実を見るべきだ」--趙章玉(チョ・ジャンオク)西江大名誉教授
「景気が悪い最大の原因は世界的に貿易秩序が揺らぎ、不確実性が高いからだが、韓国政府にも優先順位と速度調整の面で政策的エラーがあった」--柳鍾一(ユ・ジョンイル)KDI国際政策大学院長
韓国プレスセンター(ソウル市中区)で1日、「国家競争力強化、保守と進歩を超える第3の道」をテーマとする政策討論会が韓国経営者総協会(経総)の主催で開かれた。保守と進歩の経済学者が集まったが、文在寅(ムン・ジェイン)政権の経済政策に対する批判の場となった。専門家は経済政策に対する「政治過剰」を現在の問題点として挙げた。
討論の初題を担当した西江大の金広斗(キム・グァンドゥ)碩座教授は「社会主義は歴史的に成功したことがない。パイを大きくして分配すべきであって、パイを小さくして分けるやり方では駄目だ」と述べた上で、「政治で手にした力で経済でも平等に分配しようと求めるのがすなわちポピュリズムだ。正義の経済政策とは、相対的に高い水準の賃金を受け取れる良質な雇用を多く創出することだ」と主張した。金教授は文在寅政権初期に国民経済諮問会議の副議長を務めた「Jノミクス(文大統領の経済政策)」の設計者だ。金教授は「当初は人間中心成長経済という用語を使い、人的資本に投資しようと提示したが、進行過程を見ると、投資は行わず、補助金の性格で賃金ばかりを引き上げ、雇用安定資金で埋め合わせている」とし、「個人的に失望した」と語った。
討論のパネラーとして登場した趙章玉名誉教授は「過去2年余りの経済実験は国家経済を破綻の方向へ導いている。所得主導成長とは寝言で虚しく過ごした歳月だ」と批判した。趙教授は「この政府は大韓民国の政府ではなく、特定派閥の政府と言える。大韓民国の繁栄を追求するのか、特定の派閥の政権掌握を追求するのか、何を追求するのか分からない」とも発言した。趙教授は「2年半近くの政策失敗の中心には大統領の無知がある。経済をまるで知らない大統領はしきりに経済を語るが、もうこれ以上政策失敗をしないようにと忠告したい」と続けた。
ソウル市立大の尹暢賢(ユン・チャンヒョン)教授は「最低賃金が過去2年間に30%近く引き上げられたことから経済が故障し始めた。零細事業者が不景気で仕事にならないのに、従業員の給料を上げられるはずがない」と述べた。その上で、「規制というのは単独で見ると必要に思えるが、全体を眺めると起業しにくい構図が描かれる。企業全体を見渡さずに安全・環境・労働・租税政策が導入され、財閥までたたくというのだから、企業は苦しさを訴えるのだ」と続けた。
李仁浩(イ・インホ)ソウル大教授は「分配が改善されれば、消費増大、投資増加、総需要増加につながる。所得主導成長の基本構造はそこから生まれたものだ」と述べながらも、「現政権は最低賃金を急激に引き上げ、自営業の基盤が崩壊し、分配も悪化した。結局現政権は分配をぶち壊し、景気がさらに悪化した」と分析した。
韓国開発研究院(KDI)国際政策大学院の柳鍾一院長は「分配が改善すれば成長にプラスの影響を与えるというのが経済学界の定説だ。所得主導成長の政策手段が誤っているというのはその通りだが、社会水準が発達するためには、人権の向上も必要だ。そうした部分に対する構成員間の立場の違いを狭めていくべきだ」と訴えた。
韓国経営者総協会(経総)の孫京植(ソン・ギョンシク)会長は「公正・分配といった社会的価値も重要だが、それは堅固な自由市場経済体制の基盤の上で経済的効率性を高めながら、社会統合的に推進されるべきだ」とあいさつした。