エウケソン、ニコ・イェナリス、ヨン・ホウ・セテル…。今後、五星紅旗(中国の国旗)を付けてアジアの舞台でプレーする「中国」のサッカー選手の名前だ。「サッカー崛起(くっき。サッカーで台頭すること)」の実現を目指し中国が最後に切ったカード、「帰化プロジェクト」の結果なのだ。

 中国はこれまで、自国のプロサッカーに巨額の資金をつぎ込んでも、世界最高の指導者を招いても、成果を挙げられなかった。2002年の韓日共催ワールドカップ(W杯)のときには、韓国と日本が開催国枠での本大会出場が決まっていて予選に出なかったため中国が本大会出場を勝ち取ることができたが、それ以外で自力でW杯本大会に出場したことは一度もない。

 どんな手をつくしてもうまくいかなかった中国が、最後に打ち出した解決策が、外部からの「輸血」だ。昨年末から二つの方法で作業を始めた。まず中国に5年以上居住し、国際サッカー連盟(FIFA)の規定上、中国代表チームに入ることを選択できる中国プロサッカーリーグ内の最高クラスの外国人選手らと接触した。こうして誕生した帰化選手が、中国リーグで151試合に出場し101ゴールを決めたブラジル出身のFWエウケソン(31)=広州恒大=だ。中国メディアの報道によると、エウケソンは最近、中国がアジア・サッカー連盟(AFC)に提出したW杯カタール大会アジア2次予選の予備リスト60人の中に名を連ねた。そのほかにもリカルド・グラール、アラン・カルバーリョ、フェルナンジーニョ(以上、ブラジル)など中国リーグで活躍するFW選手たちが帰化に向けて準備中だ。

 さらに、中国にルーツを持ち、世界のあちこちでプレーする選手たちを積極的に発掘している。今年2月に帰化した李可(以前の名前:ニコ・イェナリス)は父親がキプロス、母親が中国人で、イングランドで生まれ、名門アーセナルのユースチームでプレーした。李可は帰化を決めるとすぐさま中国スーパーリーグの北京国安に入団し、今年6月のフィリピン戦で中国代表デビューを果たした。ヨン・ホウ・セテル(ノルウェー)、ティアス・ブラウニング(イングランド)、ぺドロ・デルガド(ポルトガル)ら、ほかにもハーフの選手たちが代表チームに抜てきされるのを待っている。

 帰化選手たちが合流すれば、中国は今より驚異的なチームになるとの見方が大勢だ。GKとDFはこれまで通り中国人選手が担当し、帰化選手たちが攻撃陣に入れば、破壊力はかなりのものになると予想される。実際にアジア・チャンピオンズ・リーグに出場する中国のプロチームのほとんどが、そのような布陣で韓国や日本のクラブと対等に戦っている。選手という人的資源が豊かになれば、2006年W杯ドイツ大会でイタリアを優勝に導いたマルチェロ・リッピ現中国代表監督の指導力も生かせる可能性がある。

 このため、韓国のサッカーファンの警戒心も日に日に高まっている。「中国が結局チトゥキ(コンピューターゲームでやりたいようにできる万能コード)を使った」と不満をあらわにするファンもいる。中国は9月から始まるW杯アジア2次予選(A組)でシリア、フィリピン、モルジブ、グアムと戦う。

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