事件・事故
フジテレビソウル支局に押し掛けたのは金正恩称賛団体
反日ブームに便乗し勢力拡大
25日午後4時半ごろ、ソウル市麻浦区上岩洞のMBC(文化放送)社屋に入居するフジテレビソウル支局に大学生3人が押し掛けた。うち1人は「ろうそく政権文在寅(ムン・ジェイン)政権の転覆を主張するフジテレビソウル支局は直ちに閉鎖しろ」と叫んだ。別の1人はフジテレビのロゴと旭日旗が描かれた紙を破り、3人目はその模様をフェイスブックで生中継した。大学生らは「直ちに謝罪し、この地を出ていけ」と叫び、警備員ともみ合った末、約6分後に支局外に退去させられた。この様子は親北朝鮮傾向のインターネットメディア「自主時報」が真っ先に伝えた。
大学生らは韓国大学生進歩連合(大進連)に所属している。先月北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長による政治を「愛と信念の政治」と表現し、「(金正恩は)北朝鮮の全ての住民に大きな支持を得ている」などといった発言を繰り返した「金正恩国務委員長研究会発表大会」を開いた団体だ。韓日の対立局面を迎え、過激な反日デモも繰り返している。今月初めには明洞にある三菱重工業の系列企業で座り込みも行った。これに対し、「青年党」はフェイスブックで「我々の心を代弁する大学生が有り難い」などと激励した。青年党のキム・スグン共同代表は金正恩のソウル訪問を歓迎する「偉人出迎え歓迎団」の団長だ。
韓国国内の親北・利敵団体は国民的は反日ムードに便乗する形で過激な行動に出ている。
連邦制による統一、在韓米軍撤収、国家保安法廃止などを主張する「6・15共同宣言実践南側委員会」は8月15日、親北・反米・反日集会を一度に行う。光化門広場では民族統一大会、日本大使館前では安倍政権糾弾行動、米国大使館前では反米デモを予定している。
韓国大法院が利敵団体と認定した祖国統一汎民族連合(汎民連)南側本部も8月14、15の両日、平和統一、反米闘争、日本の経済報復糾弾を同時に主張する集会と行進を行う。両団体の幹部は共通していることも確認された。
22日に釜山の日本総領事館に侵入して行われたデモも親北団体のメンバーが関与した。当時は大学生6人が釜山市東区草梁洞の日本総領事館図書館から庭に入り、「日本の再侵略の野心を糾弾する」「経済挑発を糾弾する」などというプラカードを掲げた。彼らは「反日行動釜山青年学生実践団」を名乗った。
警察は同団体が親北団体「キョレハナ」と密接な関係にあるとみて、具体的な関連性を調べている。キョレハナは昨年11月、ソウルで初等学生(小学生)から金正恩訪韓を歓迎する「ソウル市民歓迎団」の加入申請書を受け付けた団体だ。総領事館デモ隊のうち1人は釜山キョレハナの所属だった。
国民主権連帯は今月9日午後、ソウル市汝矣島の国会前で「日本政府の肩を持つ親日先導役・自由韓国党を解体しろ」という記者会見を開いた。国民主権連帯は6団体の連合体で、主軸は「民権連帯」だ。公安当局は民権連帯について、2010年に大法院から利敵団体に指定されて解散した「南北共同宣言実践連帯」を継承した団体だとみている。
大進連はフェイスブックに「日本の経済攻撃討論資料集」を掲載した。資料集の文章10本のうち4本は自主時報、国民主権連帯など親北傾向の団体によるものだ。3本は青瓦台のチョ・グク民情首席秘書官がフェイスブックに掲載した反日傾向の投稿だ。
専門家は親北団体の相次ぐ反日攻勢を「大義名分確保を通じた勢力拡張の動き」と分析している。高麗大統一外交学部の南成旭(ナム・ソンウク)教授は「親北への国民の拒否感が大きい状況で相対的に国民的な共感が得られる反日に比重を置き始めた」と分析した。