コラム
【コラム】朝鮮日報の戦略物資不正輸出報道を批判する李洛淵首相
7月11日に韓国国会で開かれた対政府質問での李洛淵(イ・ナクヨン)首相の答弁を聞いていて、当惑する部分があった。李首相は、日本の輸出規制措置に関連して「報道によると、日本側が根拠にした資料は韓国国内の『不確実な報道』または『政界のリーク』によるものだったというが、まことに嘆かわしい」と答弁した。
日本が「対韓輸出規制措置は正当だ」と我田引水して持ち出した「韓国の戦略物資無許可輸出摘発および措置現況」は、韓国の一部政界とメディアの不当な合作によって誕生した、という趣旨だった。本紙は今年5月17日、当時の趙源震(チョ・ウォンジン)大韓愛国党議員を通して、産業通商資源部(省に相当。産業部)から提出を受けた資料を基に「韓国企業が戦略物資156件を2015年から今年初めまでにかけて第三国へ密輸出した」と報じた。日本は最近、韓国政府による戦略物資のコントロールは信用できないとする根拠に、この資料を活用した。
本紙の報道は、産業部が公開した統計資料など「ファクト」を提示したもので、これを通して引き起こされかねない問題点を指摘したものだ。日本がこれを自分たちに都合よく活用し、韓国を攻撃したのは、明らかな誤りだった。だが報道自体を「不確実」として「リーク」という表現まで使い、メディアと野党を批判した李首相の態度は、キャリア21年の報道機関出身者だとは信じ難いほどだ。
日本の「無理な主張」に対して産業部が行った釈明だけを見ても、李首相の認識が誤っていると分かる。産業部は、問題の資料について「産業部の傘下にある戦略物資管理院の年次報告書を通して、現況を毎年透明に公開し、国会に提出している」とコメントした。「確実なファクト」にして「透明な公開」というわけだ。
産業部は、日本が摘発件数を公開していない点と対比しつつ「韓国の輸出コントロール制度が効果的かつ透明に運営されていることの反証」ともコメントした。ならば、当該報道もまた韓国の透明性を立証する根拠になるといえる。米国も、無許可輸出の摘発実績および主な事例を公開している。
李首相は、現政権において一部の報道が政府の政策を歪曲(わいきょく)していると、不愉快さを露わにしてきた。李首相は昨年、「一部の不正確な報道で国民に誤解と混乱をもたらした」「新聞は信頼の危機まで迎えることになった」「メディアが薄情なことをしているという思いがある」と発言した。今回の対政府質問を見ると、こうした発言の真意すら疑わざるを得ない。自分たちにとって不都合なニュースならば「誤報」と断定する李首相の偏ったメディア観が疑わしいのだ。
日本が、自分たちの経済報復措置を正当化するために韓国国内の各種資料を利用する我田引水、針小棒大を乱発することは予見されていた。李首相は、真に嘆かわしきはどこなのか、我が身を振り返ってみればよいと思う。
キム・ドンハ記者(政治部)