与党・共に民主党と野党・自由韓国党の支持率格差がここ1週間で大きく変動

ソウルでは支持率が逆転

 韓国の世論調査会社・リアルメーターが16日に発表した政党支持率で、与党・共に民主党と野党・自由韓国党の格差がここ1週間で1.6ポイントから13.1ポイントへと一気に拡大した。その1週間前に行われた同じ調査でリアルメーターは「両党の支持率の差が誤差の範囲に縮まった」と発表していたが、今月14日に共に民主党のイ・ヘチャン代表がこの調査結果について「おかしい」と指摘してから2日後、与党が望む通りの調査結果が発表されたのだ。

 自由韓国党は「政権与党代表の一言で世論調査の結果まで変わってしまう世の中になった」などと反発している。

 リアルメーターがTBS放送の依頼を受け今月13-15日に実施した政党支持率調査によると、共に民主党の支持率は43.3%、自由韓国党は30.2%だった。1週間前の7-8日に行われた同様の調査と比較すると、共に民主党は36.4%から6.9ポイント上昇し、自由韓国党は34.8%から4.6ポイント下がった。

 リアルメーターは「自由韓国党のナ・ギョンウォン院内代表が先日文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持者に対してヘイトスピーチのような発言をしたことや、黄教安(ファン・ギョアン)代表の5・18(光州事件)記念式典出席問題、花祭り(釈迦〈しゃか〉の誕生日)における黄代表の礼法問題などが一気に影響したようだ」などと説明している。しかし世論調査に詳しい専門家らは「国家的に大きな問題が発生したわけでもないのに、政党支持率がこれほど大きく動くのは前例がない」として疑問を呈している。

 中央選挙世論調査審議委員会に登録された資料によると、リアルメーターによる今回の調査と1週間前に行った調査では、標本の選定、調査方法、質問内容など何も変わっていなかった。回答率も6.5%で先週の6.6%とほとんど変わらなかった。回答者の政治的な立場以外に結果に影響を及ぼす要素は何もなかったのだ。

 これについて明知大学のキム・ヒョンジュン教授は「自由韓国党が問題を起こして支持率が下がったとしても、共に民主党の支持率が7ポイントも一気に上がるのは理解できない」「最近の路線バス運転手のスト問題や、今や最悪の状況にある雇用統計などを見ても、与党の支持率が上がる要素はない」と指摘した。

 とりわけソウルの場合、先週の共に民主党の支持率は33.0%、自由韓国党の支持率は42.5%で、自由韓国党が9.5ポイントリードしていたが、今週は41.7%と30.4%で共に民主党が逆に11.3ポイントも上回る大逆転となった。さらに大邱・慶尚北道では共に民主党の支持率が1週間で11.4%高い34.5%、自由韓国党は9.6%低い39.9%を記録するなど、両党の格差が一気に狭まった。

 自由韓国党の金汀才(キム・ジョンジェ)院内報道官は「自分たちに不利な結果となった世論調査に『おかしい』などと圧力をかける政権与党の代表や、その代表の一言で出た全く違った調査結果など、これらはどちらも正常ではない」と指摘した。ソウル大学のキム・ソクホ教授は「リアルメーターが主に使用する音声自動応答システム(ARS)による調査方法では、代表性のある標本の抽出が難しく、回答もずさんなものになりやすいので信頼性は低い」との見方を示した。

 実は過去にもリアルメーターはさまざまな政治的懸案について与党の意向に沿った世論調査結果を出したことがある。自由韓国党を除く与野4党が選挙制度改編などをファーストトラック(迅速処理案件指定)とすることで合意したことについて、リアルメーターは「国民の半数以上が賛成している」とする調査結果を発表したが、これなどはその典型的なケースだ。この調査で使用された質問では「選挙制度改編」を「改革法案」と表現していた。ポジティブなイメージを意図して与えることで、事実上の賛成を引き出したと指摘される部分だ。さらに候補者だったときに株式投資問題で批判を受けたイ・ミンソン憲法裁判官については「不適格」が「適格」の2倍となる調査結果を発表したが、その3日後には質問を変え「賛成と反対が拮抗(きっこう)している」と発表した。与党は後者の調査結果をイ・ミンソン氏任命強行の根拠とした。

 最近はリアルメーターだけでなく、世論調査全般に対して信頼性の低下が問題になっている。一部では世論調査を行う際、過去の回答者の電話番号を再び使ったとの疑惑も持ち上がった。以前の回答者の中で、特定政党を支持する回答者中心に再び電話をかけたとすれば、その結果は間違いなく歪曲(わいきょく)されるからだ。政府部処(省庁)や与党が依頼する世論調査が非常に多いことも、調査の信頼性や客観性に影響を与えるという。SNS(会員制交流サイト)では「一度野党を支持すると回答したら、世論調査の電話がかかってこなくなった」「年齢を70代と伝えたら、その時点で調査が中断した」といった不満の声が相次いでいる。

 別の世論調査会社の関係者は「中央選挙世論調査審議委員会などで調査の元の資料を細かく検証する以外に、誰かを有利にする意図があったのか突き止める方法はない」と指摘する。「いつかは政権が変わる可能性もあるので、調査会社が意図して与党を後押しする理由などない」との見方もある。

 リアルメーターとTBSによる調査は全国の有権者1502人に有線と無線のRDD方式(電話番号無作為抽出法)で番号を抽出し、電話による面談(10%)と自動応答(90%)を並行する形で行われた。

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