国際総合
中国海軍70周年観艦式にはためく旭日旗、中・日の雪解けアピール
中国人民解放軍海軍の創設70周年を迎えた23日午後、中国・青島港の埠頭(ふとう)で海軍儀仗隊を検閲した習近平国家主席は海上での閲兵のため、ミサイル駆逐艦「西寧」に乗船した。習主席が青島沖に出て、海上閲兵式の開始を命令すると、原子力潜水艦、超大型駆逐艦、空母などに乗った部隊員が「主席好!(主席、こんにちは)」と叫んだ。中国共産党中央軍事委員会主席として、軍の統帥権を握る習主席に対するあいさつだ。海上閲兵式には中国の「094型」戦略原子力潜水艦がまず登場し、ステルス機能を備えた「055型」ミサイル駆逐艦「南昌」、中国初の空母「遼寧」、護衛艦、揚陸艦など32隻の艦船が勢ぞろいした。上空には戦略爆撃機「轟6K(H6K)」「殲10(J10)」「殲11(J11)」など戦闘機39機が登場した。
中国海軍に対する閲兵が終わると、韓国、ロシア、インドなど13カ国の海軍艦船18隻が参加した観艦式が始まった。参加した艦船には日本の海上自衛隊の5000トン級護衛艦「すずつき」も含まれている。船首に日章旗、艦橋に中国の五星紅旗を高く掲げたすずつきの船尾には旭日旗が翻っていた。自衛隊艦船の中国訪問は両国関係が断交直前まで悪化した尖閣諸島紛争の前の2011年以降8年ぶりだ。日本は2009年に行われた初の国際観艦式にも参加せず、08年と11年に中国を訪問した自衛隊艦船は旭日旗を掲げなかった。四川大地震に対する支援物資を輸送した08年には中国の世論を意識し、日章旗すら掲げなかった。ところが、今回は中日戦争(日中戦争)で日本軍の陸戦隊が上陸した青島の沖で日本の艦船が80年余り前と同じように旭日旗を掲げ、中国の最高指導者の前を堂々と航行した。
日本は昨年10月、済州島沖で実施された韓国軍の国際観艦式には「旭日旗の掲揚が認められない」との理由で参加しなかった。中国も前日になって「内部事情」を理由に参加を見送った。ところが、日本は中国沖での観艦式に旭日旗を掲げた艦船を派遣し、中国もそれを受け入れ、蜜月関係をアピールした格好だ。韓日関係は最悪の状況だが、中日関係は雪解けが進んでいる。首脳による交流も活発だ。李克強首相が昨年5月、中国の首相としては8年ぶりに訪日。安倍晋三首相が昨年10月、現職首相としては7年ぶりに中国を公式訪問した。今年6月の主要20カ国(G20)首脳会議の期間には習主席が中国の国家主席としては11年ぶりに日本を訪問し、10月には国賓として再び公式訪問を行う予定で、中日の蜜月関係はさらに強まりそうだ。国交正常化(1972年)、平和友好条約締結(78年)など4回にわたる歴史的な共同合意を発表してきた中日は昨年、安倍首相の訪中に合わせ、両国関係の正常化を盛り込んだ「第5の合意」も発表した。
経済分野でも結び付きが深まっている。昨年4月に2010年以来8年ぶりに高官級の経済対話を再開した両国は、高いレベルの経済統合を盛り込んだ東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を推進する方針で一致した。日本は中国の一帯一路構想にも「第三国協力」という形で積極的に参加意向を示している。
22日にはトヨタ自動車が中国の北京汽車集団に燃料電池車(FCV)向けの部品を供給することで合意した。トヨタがFCV分野で中国企業と提携したのは今回が初めてだ。上海では同日、中日両国の証券市場関係者が早ければ5月にも上場投資信託(ETF)の相互上場を実現させることに合意した。観光分野では今年1-3月に日本を訪れた中国人観光客が216万人を数え、前年同期を11.6%上回った。両国はまた、2020年東京五輪、22年北京冬季五輪などを契機として、両国関係の将来を担う青少年による交流も活発化させる方針だ。交流規模は5年間で3万人に達する。