日本の1人当たり国民所得は韓国を30%以上上回るが、大企業の勤労者の賃金は韓国が日本の1.5倍に達するとする分析が示された。中小企業研究院によると、2017年時点で従業員500人以上の大企業の平均月額賃金は535万ウォン(約52万6000円)なのに対し、日本は346万ウォンで韓国が55%多かった。大企業の強硬な労組が強い交渉力で毎年高い賃上げを押し通しているためだ。このため、青年は中小企業を避け、中小企業が人材難で苦しむという悪循環がますます深刻化している。

 それでも主に全国民主労働組合総連盟(民主労総)に所属する大企業労組は逃走路線を走り、既得権の死守することにこだわっている。ルノーサムスン自動車の生産職の年収は日本の工場よりも20%高いが、同社労組は全世界のルノー工場のどこでも導入されていない「作業転換配置時の労組同意義務化」を求め、ストライキを継続中だ。現代自の平均年収は9200万ウォンで、トヨタ(8344万ウォン)、フォルクスワーゲン(8487万ウォン)をはるかに上回る。賃金は世界最高なのだが生産性は低い。車両1台の生産に投入される労働時間が現代自動車蔚山工場は26.8時間に達し、トヨタ(24.1時間)、フォルクスワーゲン(23.4時間)よりも長い。こうした高コスト・低生産性の構造で企業が維持されていること自体が奇跡だ。

 韓国の産業の1時間当たり賃金は過去20年間で154%上昇した。上昇率は米国(76.3%)、ドイツ(54.9%)の2-3倍だ。一方、労働生産性は米国の54%、ドイツの57%にすぎない。最低賃金が急速に上昇し、昨年の中小製造業の製造原価に占める人件費の割合は1年間で8.3ポイント上昇し、36.5%に達した。人件費による圧迫を受けた企業は工場自動化や海外移転を通じて雇用を減らすほかない。製造業の勤労者1人当たりのロボット導入台数は10年前の171台から710台へと急増した。工場の海外脱出も加速している。昨年の企業の国内投資は1.6%減少したが、海外投資は9%増えた。中小企業の海外投資は37%も急増した。それだけ雇用と国富が流出したことを示している。

 それでも政府は人件費負担を軽減し、強硬な労組の暴走をコントロールすることができる労働改革には消極的だ。歪められた労働構造の改革どころか、むしろ逆走を続けている。前政権がようやく実現した公共機関の成果年俸制は現政権発足直後に廃止され、低成果者の解雇、賃金ピーク性の条件緩和も白紙化された。それでいて企業に投資しろと圧力をかけている。日本よりも高い人件費でも韓国経済は当面持ちこたえられるかもしれない。しかし、決して持続可能ではないはずだ。

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