萬物相
【萬物相】世界に配信されたK-POPスキャンダル
「ドジョウ一匹が水たまりを濁す」という比喩(ひゆ)はこういう時に使うものなのだろう。数人の堕落したアイドルのせいで、海外メディアが一斉にK-POPに背を向けた。「K-POPの闇」「セックスと嘘(うそ)とビデオテープ:K-POPを襲ったスキャンダル」などの見出しが飛び交う。歌手PSY(サイ)の『江南スタイル』で有名になったソウルの姿は、性犯罪や麻薬、暴力、賄賂でけがされた「クラブ『バーニングサン』の街」として描写されている。
今回の事件が起こる前、K-POPに対する外信各社の反応は過剰なほど賞賛一色だった。K-POPアイドルは純粋でキュートで健康的なイメージに描かれていた。「米国でK-POPがブレークした」「もはやポップな言語は英語ではない」と伝えられた。特に、歌手V.Iが所属するアイドルグループBIGBANGは「K-POPの帝王」と呼ばれた。米経済誌フォーブスはBIGBANGのリーダー、G-DRAGONを「アジアの芸能・スポーツ業界で最も影響力のある若い人物」として挙げていた。しかし、「K-POPの帝王」は自ら墓穴を掘った。ゴージャスで華やかな姿から「韓国の偉大なるギャツビー」と呼ばれたV.Iには「売春あっせん者」というレッテルが貼られた。
K-POPが世界的に人気を呼んでいるだけに、外信各社はあらゆる言語でこのニュースを配信している。英語はもちろん、中国語・日本語・フランス語・ドイツ語・スペイン語・アラビアでも報じられている。CNN・ロイター・APといった主要メディアでは深層に切り込む報道もしている。K-POPアイドルがどのように訓練され、どのような過程を経てアイドルになるのかに焦点を当てたものだ。BIGBANGのほかのメンバーも大麻吸引で起訴猶予処分になったことがあると紹介、「彼らの所属事務所YGエンターテインメントの『YG』は『薬局』(ハングルをアルファベット表記するとyak-guk)の略語だという冗談がある」と紹介した。
外信各社は「韓国の芸能産業が金と人気ばかり追い求め、道徳性を失ってしまった」と批判している。若いアイドル志望者たちに歌とダンスばかり教え込み、行動・振る舞いなどに関する教育やストレス管理ができていなかったと指摘、こうしたアイドルたちを「歩く時限爆弾」とまで表現した。「『バーニングサン事件』のせいでK-POPは想像もつかないほどの見苦しい姿を今後見せることになるだろう」という見方もあった。
ロイターは「完全なクズ。BIGBANGのファンだったのが恥ずかしい」というソウル市内在住の英語講師の話を伝えた。52歳の日本人女性は「友達が『もうK-POPファンはやめる』と言っていた。責任をもって説明してほしい」と語った。あるインドネシアの新聞は「今こそ犯罪者・変態アイドルに別れを告げる時」というコラムを掲載、「我が国の若い女性たちにこのような犯罪者たちに『ノー』と言い、背を向ける権利があることを教えなければならない」と主張した。世界の恥であり、裏切り者以外の何者でもない。挽回(ばんかい)するにはどれだけ時間がかかるのだろうか…。