コラム
【コラム】中国にはおとなしく日本には強硬な韓国
早朝から微小粒子状物質「PM2.5」が大量に発生した今月15日、韓国外交部(省に相当)の当局者が突然メディアに対し「大気汚染問題解決のため韓国政府が中国とどのように協力しているか説明したい」と伝えてきた。予定になかった会見をその日のうちに急きょ開きたいということだ。この問題で韓国政府が中国に対してどのような秘策を持っているか気になった。会見に行くと外交部の担当者が「対中国大気汚染外交対応方策」と書かれた資料を配付し説明を行った。
外交部の担当者は「韓国政府は中国と共に、首脳外交を含む高官級の協力を通じて環境問題解決のため地道に努力を続けてきた。今月末にも韓中気候変動協力共同委員会を開催し、大気汚染問題について意見を交換する」と説明した。しかし配布された資料には「環境問題に関する共同の対応を要請」「大気汚染物質に関する科学的研究結果の共有」といったどっちつかずの言葉しかなかった。共同委員会とは今年で25年目となる定例行事のことだ。
ある記者が「具体的な対策はないのか」と質問すると「現地の大気汚染物質が韓国に飛来する前に中国が伝える」「早期警報システムの構築などを推進する」などの回答が出た。「もっと根本的な対策はないのか」との質問には「中国の事情を理解すべきだ」という趣旨の長い説明が始まった。その説明は要するに「中国では1978年の改革開放以来、経済発展に伴い石炭エネルギーの使用が爆発的に増加した」「中国は2030年までに大気汚染物質の排出が頂点となる段階に向かっている。頂点を過ぎれば減少するので、それまで画期的に減少させることは難しい」というものだった。
会見では「韓国政府が中国の顔色をうかがっている」という強い印象を受けた。韓国では外出時には3歳くらいの子供も自分の顔より大きいマスクを使わねばならない。これが今の韓国における大気汚染の現状だ。環境面ではまさに安全保障上の危機的状況とも言えるが、この問題における韓国政府の中国に対する姿勢はあまりにも落ち着いていておとなしく感じた。
これとは逆に韓国政府の対日外交は極度に感情的で、時には攻撃的でさえある。つい先日、韓国国防部は日本とのレーダー・哨戒機問題について日本の主張に反論する動画を制作した。この動画は重々しいBGM付きで、戦争映画でも見ているような印象さえ受けた。外交部は日本統治時代における強制徴用の賠償判決、和解・治癒財団の解散発表を巡っては日本に対して全く譲歩せず、今も厳しい対立が続いている。韓国大統領府は「韓日軍事情報保護協定を今後も維持する必要があるのか」「大統領は日本に対して激しく怒っている」などとメディアに伝えている。まずは論理的に正しいかどうかを判断すべきだが、それ以前に韓国政府の対応はあまりにも感情的だ。
もちろん日本の対応にも問題があるだろう。日本の安倍政権は韓国に反発する感情を刺激し、これを自らの政権運営に利用しているとの指摘を受けている。しかし韓国まで興奮して対応すると、結局は彼らの意図に巻き込まれてしまうだけだ。韓国政府は中国と日本に対する全く異なった態度を自制し、特に外交政策においては明確な中心軸と冷静さを取り戻してほしいものだ。
政治部=ノ・ソクチョ記者