「安保協力国」同士で大ゲンカ

 韓国国防部(省に相当)が4日、日本の自衛隊哨戒機レーダー照射問題と関連、日本側の主張に強く反論して弁明を求める映像を公開した。軍事当局間の確執を水面下で調整すべき両国の最高指導部が真っ向から対立してエスカレートし、確執がさらに深まっている状況だ。日本は韓国側の見解に連日反論してきたが、この日はひとまず態度を保留した。

■悲壮なBGM流れる4分26秒間の映像

 国防部が同日、動画共有サイト「ユーチューブ」の公式アカウントで公開した4分26秒間の韓国語版映像は、先月20日に韓国海軍駆逐艦「広開土大王」に日本の海上自衛隊哨戒機P-1が接近した際、日本の主張とは違って韓国駆逐艦が追跡レーダー(STIR-180)を照射しておらず、むしろ日本の哨戒機の方が威嚇飛行をしたとの主張になっている。

 この映像の最初の画面で、国防部は悲壮なBGMを流し、「日本は人道主義的な救助作戦の妨害行為を謝罪し、事実の歪曲(わいきょく)を即刻中止せよ」と要求している。そして、韓国海洋警察庁の警備艦サムボン号が撮影した、日本のP-1哨戒機が低空接近する様子を初公開し、日本の主張にテロップで一つ一つ反論した。国防部は「日本の哨戒機はなぜ人道的救助作戦現場で低空威嚇飛行をしたのか」「日本側が主張する追跡レーダー(照射)の証拠があるなら、両国の実務協議で提示せよ」というテロップも入れた。国防部は今後、英語など各国言語に翻訳した映像を追加掲載する予定だとしている。

■日本、態度は保留したが…

 日本の防衛省はこの日、韓国国防部の反論映像について正式なコメントを出さなかった。本紙記者が見解を問うと、日本の防衛省は「(韓国の反論映像に対して)どのように対応するか、いつ対応するか何も決まっていない」と答えた。

 安倍首相も三重県の伊勢神宮を参拝した後、同地で新年の記者会見を行ったが、韓日関係については一言も言及しなかった。韓日関係に関する記者の質問もなかった。

 その代わり、日本政府関係者はそれぞれ、報道機関のインタビューなどで「日本政府が事実を歪曲している」という韓国政府の見解を批判した。佐藤正久外務副大臣は、韓国国防部が反論映像を公開する前に「航空法等での禁止飛行パターンは①低空での直上通過飛行②急降下飛行③高調音を発する飛行④艦船に向かう進路での飛行⑤近距離の前方横切り飛行⑥艦船近傍での模擬攻撃飛行であり、映像にもあるように、これまで同様、危険な飛行ではない」とツイートした。

 康京和(カンギョンファ)外交部長官と河野太郎外相は同日午後、電話協議をした。日本側は「事実に立脚して迅速に問題を解決することで認識が一致した」と述べたが、両国の国防当局間の追加協議はまだ不透明な状況だ。

■追跡レーダー照射の有無、威嚇飛行かどうかが争点

 韓日は今回の問題で大きく分けて2つの論点で意見の違いがある。1つめの論点は、日本が「韓国駆逐艦が追跡レーダーを照射した」と主張している一方で、韓国側は「捜索用レーダー(MW-08)は稼働させたが、追跡レーダーは使用していない」と主張していること。2つめの論点は、日本の哨戒機が韓国駆逐艦に約150メートル上まで接近し、「威嚇飛行」したかどうかだ。日本側は民間航空機の関連規定を根拠に、「150メートル上を飛行できる」としているが、韓国国防部は「日本側が言及した規定は軍用機には該当しない。哨戒機は接近して威嚇飛行をした」と言っている。

 専門家らは、韓日両国の軍事的な「レーダー照射」対立が政治的な対立に発展していることは望ましくないと憂慮している。今回の事案を国内政治に利用しようとしている安倍首相も問題だが、韓国が「対抗措置」に出ることも懸念されるということだ。

 安倍首相は先月28日、防衛省が反対したのにもかかわらず映像公開を指示したと言われている。国内支持率の低下を挽回(ばんかい)するために韓日の確執を利用したのではないかとの見方だ。国防部の次元で対応していた韓国政府は、安倍首相が1日の新年インタビューで韓国側に「再発防止策」を公に要求したのを受けて、国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開き、この問題を集中的に協議した。軍当局次元で対応していた件を、最高指導部次元へと大幅に引き上げたものだ。

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