韓日関係
レーダー照射:韓国国防部「日本は謝罪を」、安倍氏発言にも遺憾表明
韓国国防部(省に相当)は2日、いわゆる「レーダー照射問題」をめぐる日本の安倍晋三首相の発言に対して遺憾を表明するとともに、日本の哨戒機が威嚇的な低空飛行をしたことについて謝罪を要求した。
安倍首相は1日、テレビ朝日とのインタビューで「火器管制レーダー(射撃統制レーダー)の照射は危険な行為であり、再発防止策をしっかりとやっていただきたい」「韓国側にも受け止めてもらいたい」と述べた。
国防部はこの日、書面で「韓日の国防当局間で事実確認のために実務協議を続けていくと合意したにもかかわらず、日本が映像を公開し、1日のテレビ朝日とのインタビューで高位当局者までもが一方的な主張を繰り返していることに対し、深い遺憾を表明する」との声明を発表した。
さらに「日本側が公開した映像で見られるように、当時、友邦国の艦艇が公海上で遭難漁船を救助するという人道主義的活動を行っている状況で、日本の哨戒機が低空で威嚇飛行をした。その行為自体が極めて危険な行為だ」と指摘した。
その上で「もう一度明言するが、わが艦艇は日本の哨戒機に対し追跡レーダー(STIR)を照射していない」「日本はこれ以上事実を歪曲(わいきょく)する行為をやめ、人道的な救助活動中だったわが艦艇に対して威嚇的な低空飛行を行ったことについて謝罪すべきであり、実務協議を推進することを要求する」と強調した。
「レーダー照射問題」は、韓国海軍の駆逐艦「広開土大王」が日本の海上自衛隊のP1哨戒機に射撃統制レーダーを照射したと日本側が主張したことがきっかけで韓日の対立に発展した。
韓国海軍の駆逐艦は12月20日、東海(日本海)海上で、遭難した北朝鮮の船舶の捜索作業に当たっていた。
韓国軍の関係者によると、日本の哨戒機は当時、救助活動中の韓国の駆逐艦の右方向500メートル、高度150メートルの上空を威嚇的に通過した。
日本は当初、哨戒機は低空飛行を行っていないと主張していたが、先ごろ日本の防衛省が公開した哨戒機からの映像で、低空飛行が行われていたことが確認された。
日本は、高度150メートル以下での飛行を禁じる国際民間航空機関(ICAO)の安全条約に照らして問題がないとの立場だが、軍用機にはICAOの規定が適用されないと韓国軍当局は説明している。
特に哨戒機のような航空機には通常、空対艦ミサイルなどが搭載されているため、艦艇の乗組員にとっては近くを飛行されれば相当な脅威を感じるというのが軍関係者の一致した説明だ。
日本側はまた、「レーダー照射問題」の発端となった追跡レーダーに関しても、具体的な証拠を提示していない。
日本側は、韓国の駆逐艦が追跡レーダーで哨戒機に照準を合わせて威嚇したと主張しているが、「決定的証拠」となるレーダーの周波数の公開は拒否している。
日本の時事通信によると、防衛省の幹部は「周波数データは、哨戒機の監視能力の手の内をさらすことになる」「電子戦能力でもあり機密だ」などの理由で公開を拒否した。
一方、日本国内でも日本側の過ちを指摘する声が出ている。また、映像公開を指示した安倍首相の「自縄自爆」だとの分析も示されている。
小泉純一郎元首相の秘書官を務めた小野次郎元参議院議員は先月29日、自身のツイッターで「(日本が公開した)映像を見ると、我が方(日本)の言い分よりも韓国側の緊迫した一触即発の状況がよく分かる」として「北鮮(北朝鮮)船舶に対し作戦行動中の(韓国の)軍艦に訳もなく(日本の哨戒機が)接近するのは極めて危険で不見識」と指摘した。
小野氏は「日本の海上保安庁も北鮮船舶に接近する場合、相手の抵抗と不意の攻撃に対して威嚇射撃などの備えを怠らない。接近する航空機の警戒も強化する」と述べ、北朝鮮の船舶の救助作戦を展開していた韓国の駆逐艦が警戒を強化したのは当然だと説明した。
国防部の関係者は「日本側が公開した映像には単に哨戒機が海上で旋回する場面と操縦士の会話の場面しか収められておらず、一般常識的な側面から、レーダーを照射したという客観的な証拠と見なすことはできない」と話した。