親北の論調で知られるインターネット新聞「自主時報」がクリスマスに「イエス・キリストの夢は朝鮮(北朝鮮)で実現している」と主張する記事を掲載した。自主時報は2015年に大法院(最高裁に相当)で廃刊の決定を受けた自主民報を引き継いで発行されているネット新聞だ。

 自主時報は25-26日付で「朝鮮はイエスが夢見る世の中だ」という見出しの連載記事を掲載した。「イエスが夢見た社会は日雇いの仕事が保障される社会で、飢えたときには食べ物を分け合う兄弟・姉妹の愛でひとつになった家族社会だ」「朝鮮は誰も生存の心配をする必要がない体制と、利己的になる必要のない家族のような社会を実現した」と主張した。記事を執筆したイ・インスク特派員は米国在住と伝えられている。

 自主時報は現在、慶尚北道高霊を拠点に国内外から支援を受けて運営されている。2000年の6・15南北共同宣言と07年の10・4の南北宣言の実行を求め、北朝鮮体制を宣伝すると同時に米国を非難してきた。「金日成(キム・イルソン)主席が満州に残した足跡」などの記事も掲載されている。

 最近は「金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を待ち望む熱い民心」などの見出しで金正恩氏歓迎団体の活動を詳しく紹介し、ここ1カ月に同テーマの記事は24件掲載された。自主時報は25日付の支援に感謝する記事の中で「われわれはもうすぐ、北朝鮮の指導者である金正恩委員長の歴史的なソウル訪問の瞬間を初めて目の当たりにするだろう」「熱烈に歓迎し、民族が一つになった力を全世界に広めよう」と呼び掛けた。

 自主時報の前身とされる自主民報は2005年、ソウル市にネット新聞として登録を行い、北朝鮮について宣伝しながら三代世襲を支持する内容の記事を一貫して掲載し問題となった。14年にソウル市は裁判所にネット新聞登録取り消しを申請し、翌年に大法院は「廃刊は違法ではない」との決定を下した。

 その後、自主民報は名称を自主時報に変更し、全羅南道に登録地を移して活動を続け、昨年2月からは慶尚北道にネット新聞として改めて登録した。慶尚北道庁の関係者は「自主時報について詳しく検討し、問題があれば登録取り消し請求を含むあらゆる対応を取りたい」とコメントした。

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