日本最大の金融グループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が北朝鮮によるマネーロンダリング(資金洗浄)に関与し、対北朝鮮制裁に違反した容疑で米国検察当局から捜査を受けていることが分かった。米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。容疑の内容は具体的には報じられていないが、同グループは中朝国境周辺で活動する中国人実業家と取引を行う際、身元確認に必要なシステムを稼働させなかったという。三菱UFJフィナンシャル・グループは資産規模が286兆円で日本国内では1位、世界でも5位のメガバンクだ。報道された内容が事実であれば、米検察の捜査を受けたという事実だけで三菱UFJフィナンシャル・グループはもちろん、日本の金融界全体にとっても大きな打撃となるのは避けられない。

 2016年からこれまで対北朝鮮制裁に違反した容疑で中国、ラトビア、ロシアの四つの銀行が米国の制裁を受けた。このうちラトビアの銀行は容疑の発覚後、取り付け騒ぎが起こり、わずか4カ月後に破産した。米国による制裁は実質的に国際金融界からの追放を意味する。

 米財務省は今年9月、平壌で南北首脳会談が開催された直後、韓国の銀行7行に電話をかけ「南北首脳会談とは関係なく北朝鮮に対する制裁は有効だ。必ず守ってほしい」と念を押してきた。また在韓米国大使館がサムスン、SK、現代自動車、LG、ポスコなど韓国の5大企業グループに対し、北朝鮮関連事業の資料提出を要求した事実も大きく報じられた。さらに一時は米国が韓国の銀行1行をセカンダリー・ボイコット(北朝鮮と取引を行っている第3国の企業や個人への制裁)の対象にしたとのうわさも広まったが、韓国大統領府はこれについて「根拠のないデマ」「取り合う価値もない」などとして深刻には受け取めなかった。「まさか米国が同盟国に対し、しかも非核化を含む対北朝鮮政策を共に解決する同伴者に制裁違反容疑をかけるなどあり得ない」と油断しているように見える。

 しかしそう考えると、日本は米国が最も信頼する同盟国であり、とりわけ対北朝鮮制裁では確実に歩調を合わせられるパートナーだ。米国は三菱UFJフィナンシャル・グループへの捜査を公表することで、国際社会に明確なメッセージを送ろうとしているようだ。つまり制裁に聖域はなく、もし制裁に違反すれば誰であっても厳しく罰するということだ。米国のポンペオ国務長官も「南北関係の進展が北朝鮮の非核化よりも先に進むことは望まない。この点は韓国側にも明確に伝えた」と述べたが、これを軽く聞き流してはならない。韓国を代表する金融機関や企業に対し、南北経済協力に乗り出すよう韓国政府が無理に後押しし、その結果、対北朝鮮制裁違反でその企業が国際社会から追放されるような事態が起これば、韓国政府としてもその後始末をつけることはできないだろう。

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