萬物相
【萬物相】ハロウィーン、なぜ韓国で突然流行したのか
毎年10月31日に「今も覚えています、10月の最後の夜を」と歌う「忘れられた季節」を思い出した場合、あなたは旧世代だ。これに対して最近の若い世代は欧米のハロウィーンをすぐ連想する。この日も江南や梨泰院、弘大前などではお化けなどに仮装し通りを歩く大勢の人たちが目に付いた。ハリウッド映画主人公のコスプレをする若者もいた。中でも今年はトランプ大統領の仮面が特に人気だったようだ。
ハロウィーンはキリスト教の「オール・ハロウズ・イブ」を短くした言葉で、11月1日の万聖節の前日を意味する。これと古代ケルト族が10月31日に行っていたサウィン(Samhain)が一つになったというのが定説だ。ケルト族は「この日は死者の霊魂が集まる」と考え、互いに食事を振る舞い悪霊を追い出す儀式を行ってきた。欧米ではこの日夕刻に子供たちがお化けに扮(ふん)して家々を訪ね「トリック・オア・トリート(お菓子をくれないといたずらするぞ)」と言ってはキャンディーやチョコレートなどを受け取るそうだ。
韓国ではこれまで在韓米軍部隊でささやかなパーティーが行われる程度だったが、2000年代に入ると外国語スクールで働くネイティブの英語講師らがパーティーをするようになり、それがここ数年で若者たちの文化として広まった。ハロウィーンが近づくと、仮装しないと中に入れないパーティーが多くの飲食店で行われるようになった。英語を教える幼稚園のハロウィーンパーティーは母親たちにとって新たなストレスだ。大型スーパーなどで販売される帽子やマントでは目立たないので、それらを海外からわざわざ取り寄せるケースも出てきたという。
一昨日江南のあるクラブで行われたパーティーで、一人の男性が5万ウォン(約5000円)の札束をばらまいた。この男性は昨年からこのクラブに来るようになり、現金をばらまくことが知られたため、多くの人が待ち構えていたようだ。この日札束が空中にまかれると、数百人が紙幣をつかみ取ろうと大騒ぎになった。事故でけが人を出ることを心配した人が警察に通報したが、中には実際に病院に担ぎ込まれるケースもあった。自らを個人投資分析家と説明するこの男性の正体と札束をばらまいた理由は今も明らかになっていない。
文化評論家は欧米のハロウィーンが韓国で突然流行したことについて「やることがないから」と説明する。韓国の休日は歴史的な記念日で家族が集まるだけのケースが多いため、仮装を楽しんで遊ぶ欧米の文化が最近の若い世代に受け入れられやすかったというのだ。以前はクリスマスイブになると各地で事故に備え警察がパトロールに力を入れていた。それが最近はハロウィーンに取って代わられたようだ。