事件・事故
反米団体メンバーまたマッカーサー像に火…でも放火罪にならず?
反米団体のメンバー2人が23日未明、仁川市中区の自由公園にあるマッカーサー将軍の銅像に火を付けたことが分かり、警察が捜査に乗り出した。このうち61歳の牧師は今年7月にも銅像に火を付けていた。当時、この牧師は「マッカーサーの銅像に火を付けた」と自供したものの、警察は牧師に対し、放火容疑ではなく無届けでの集会開催容疑などを適用した。そして前回の事件から3か月で再びマッカーサー将軍像に放火したのだ。
仁川中部警察署は同日、反米団体「平和協定運動本部」の共同常任代表を務めるこの牧師と、団体メンバー(41)の捜査に着手したと発表した。2人は同日午前3時ごろ、マッカーサー将軍像の前で「戦争によって生きている米国が、南北首脳会談まで妨害している」として、引火性の物質を染み込ませた布に火を付けた。この火によって銅像の台座が黒く焦げた。しばらくして住民からの通報により警察が現場に出動したが、牧師らの取り調べはこれから実施する予定だ。
牧師はこの日、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に「きょう、米国人のダグラス・マッカーサーの銅像に2回目の放火を実行する」と書き込んでいた。また、火を付ける様子を撮影し、動画共有サイト「ユーチューブ」に動画を投稿した。この牧師は、かつて大法院(最高裁に相当)で利敵団体との判決を受けた祖国統一汎(はん)民族連合南側(韓国側)本部の中央委員として活動し、北朝鮮へのビラ散布反対、在韓米軍撤退などを訴える運動を繰り広げてきた。
牧師は7月にも別のメンバーと共にマッカーサー将軍像によじ上り、持参した布団に火を付けて「マッカーサーを火あぶりの刑にした」と主張した。警察は当時、牧師を特殊損壊罪と集会及びデモに関する法律違反の容疑で立件し、今月2日に書類送検した。警察の関係者は「放火罪が成立するのは火災によって公共の危険が生じたときだけであり、人けのない時間に火を付けただけでは放火罪の適用は難しかった」と説明した。
警察は今回も「放火罪の適用を検討しているが、適用は容易ではない」との立場だ。火を付けたのは持参した布だったため、自分の所有物への放火罪(3年以下の懲役または700万ウォン〈約70万円〉以下の罰金)が適用される可能性はあるが、今回も「公共の危険」があったと見なすのは困難だからだ。警察は2人の逮捕状も請求しない方針だ。理由は「自分たちの犯行を撮影してインターネットに投稿するという確信犯であるため、証拠隠滅や逃亡の可能性が低い」からだという。