【新刊】梁英聖(リャン・ヨンソン)著、キム・ソンミ訳『嫌悪表現はなぜ在日朝鮮人を狙うのか』(山のように社)

 「朝鮮人は出ていくべきゴキブリ」「朝鮮人は首をつれ、毒を飲め、飛び降りろ」「良い韓国人だろうと悪い韓国人だろうとみんな殺せ」。1923年の関東大震災で朝鮮人が虐殺されたときのスローガンではない。2013年2月、東京・大久保で行われた嫌韓団体の街頭デモで登場した垂れ幕の文言や、参加者らの暴言だ。いくら日本が憎くても、ソウルでこんなレベルの「嫌日」デモは起きていない。実際に会ってみれば実に温和、丁寧で立派な先進国の国民だという日本の人々の間で、たとえ一部であっても、なぜこんなことが起きるのだろうか。

 「在日朝鮮人」3世でNGO(非政府組織)「反レイシズム情報センター」活動家の著者は、現在日本で起こっている憎悪表現について、人種主義と外国人排斥を公然と掲げて「遊び半分で」参加するという特徴があると分析する。にたにた笑いながら「死ね」と叫ぶ極端な反人間性や脅迫、営業妨害、傷害といった物理的暴力を伴う深刻なレベルだという。

 その原因は何か? 1960-70年代に反人種主義政策の枠組みを整えた欧米とは異なり、日本では「反人種主義」という規範が欠如している。むしろ、政界では在日朝鮮人に対する差別を扇動してきた。加えて、日本軍「慰安婦」や朝鮮人強制連行、南京大虐殺といった歴史的事実に言い逃れをする「歴史否定」まで扇動している。これが日本で憎悪表現の増えている社会的要因で、人種主義によって社会と民主主義が破壊されることを防ぐためには、まさにこれらの要因の除去と是正に乗り出さなければならないと語っている。376ページ、1万8000ウォン(約1780円)。

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