文在寅政権
「メディアのせい、前政権のせい、100年続く積弊のせい」
史上最悪とも言える雇用情勢の悪化を巡り、韓国大統領府と与党・共に民主党では前政権に責任を転嫁するかのような発言が連日相次いでいる。
19日に行われた与党・政府・大統領府による会議の席上、「経済政策の方向性について、キム・ドンヨン経済副首相と大統領府の張夏成(チャン・ハソン)政策室長の意見が対立した」と複数のメディアにより相次いで報じられたが、これについて大統領府の金宜謙(キム・ウィギョム)報道官は「メディアが非常に神経質な反応を示している」とコメントした。会議ではキム副首相が「経済政策の見直しも検討する」と述べたのに対し、張室長は「政策の効果については年末まで待ってほしい」と求めた。このやりとりを巡ってほぼ全てのメディアが「足並みが乱れている」「考え方が違う」などと報じたわけだが、大統領府は「メディアの観点そのものが間違っている」と主張しているのだ。
雇用情勢の悪化について与党・共に民主党では「李明博(イ・ミョンバク)政権と朴槿恵(パク・クンヘ)政権の責任」と主張する声が相次いでいる。例えば党代表選挙に出馬したイ・ヘチャン議員は「李明博政権は四大河川を再生させるという口実でおよそ26兆-27兆ウォン(現在のレートで約2兆6000億-2兆7000億円)を投じたため、それ以外の投資が非常に弱くなった」「ここ100年続いた積弊と不公正を解消しなければならない」などと述べた。また同党の秋美愛(チュ・ミエ)代表は「今は(前政権当時の)数年前から完全に弱体化している経済の体質が再び強化されるプロセスにある」との見方を示した。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は20日に行われた大統領府首席秘書官会議で「困難な雇用情勢については、政府として最善を尽くしているという信頼を持ってもらい、自らの職を懸けるという決意で対応に当たってほしい」と出席した秘書官らに呼び掛けた。これについては経済政策のスタッフを集めた席でも、文大統領は所得主導成長をはじめとする現在の政策を今後も維持する考えを改めて示したと受け止められている。