サッカー
サッカーW杯:前回大会優勝国ドイツを破った韓国の奇跡
1994年6月27日、米ダラスで韓国とドイツのサッカー・ワールドカップ(W杯)米国大会グループリーグ第3節が行われた。韓国は40度という暑さの中で前半に3点を失い、後半に電光石火の追い上げを見せたものの2-3で惜敗した。韓国W杯の歴史に残る名勝負だった。
それから24年後の2018年6月27日。韓国は再びドイツとW杯グループリーグ第3節で対戦した。世界最強のドイツを相手に韓国は今回もひるまず、堂々と渡り合った。そして、今大会の最大の番狂わせが起こった。2-0で韓国が勝ったのだ。韓国はW杯史上でドイツを破った初めてのアジアの国になった。
W杯通算で優勝を4回、準優勝を4回、ベスト4入りを5回達成した最強・ドイツは韓国に勝てず、W杯出場の歴史で初めてグループリーグ敗退というショックを味わった。ドイツは最近4回のW杯ですべてのベスト4以上を達成していた。
申台竜監督は27日、W杯ロシア大会グループリーグ第3節のドイツ戦に、メキシコ戦出場メンバーを4人替えたラインナップで臨んだ。相次ぐDFのミスでサポーターたちに非難された張賢秀(チャン・ヒョンス)が守備的MFになり、尹栄善(ユン・ヨンソン)が新たに金英権とセンターバックを務めた。第1節・第2節で不振だった左サイドバック金民友(キム・ミンウ)の代わりにホン・チョルが投入された。FWの先鋒(せんぽう)にはソン・フンミンと具滋哲(ク・ジャチョル)が立った。寄誠庸(キ・ソンヨン)はけがで外れ、キャプテンマークはソン・フンミンが付けた。
韓国は序盤、ドイツに対して慎重な試合展開をした。DFに重点を置いて相手の攻撃を防ぎながら逆襲を狙った。前半13分に鄭又栄(チョン・ウヨン)が中盤で相手にボールを奪われ、危機を招いた。だが、韓国は守勢に追い込まれながらもチャンスをつかんだ。
前半19分、鄭又栄の無回転FKがGKマヌエル・ノイアーの手に当たって跳ね返った。ソン・フンミンが駆け寄ったが、ノイアーが抑えた。前半25分にはソン・フンミンの強力なボレーシュートが出たが、ゴールを外れた。
ドイツは粘り強く攻撃を試みた。前半33分、マルコ・ロイスのシュートを尹栄善が体で阻止した。前半39分には混戦からマッツ・フンメルスのシュートをGK趙賢祐(チョ・ヒョンウ)が阻んだ。
ドイツは前半のボール支配率が71対29(%)と圧倒的に優位だった。パスも361本で、韓国(120本)の3倍を上回る。ところが、韓国が走った距離は56.45キロメートルで、ドイツ(54.86キロメートル)を上回った。懸命に走って相手を阻んだのだ。
ドイツは試合運びがうまく行かず、焦っている様子だった。
後半開始と共に鄭又栄がメスト・エジルからボールを奪い、ミドルシュートを放った。後半3分にはレオン・ゴレツカの決定的なヘディングシュートを趙賢祐が阻止した。趙賢祐は今大会の試合で見事なセーブを見せ、韓国のゴールを守った。後半6分、ティモ・ベルナーのシュートは空を切った。
ドイツはさらに焦った。そして終盤、韓国にチャンスが来た。後半ロスタイムのCKでこぼれたボール金英権が蹴り、ゴールネットを揺らした。審判はビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)で確認した上で韓国のゴールを認めた。それまで非難を一身に浴びていたDF金英権は、今大会最高の守りを見せると同時に、最後にドイツを打ちのめすゴールを決めたのだ。韓国はその3分後、朱世種(チュ・セジョン)のロングクロスをソン・フンミンが取り、とどめとなる追加ゴールを入れた。英国のブックメーカーは韓国が2-0で勝つよりも、ドイツが7-0で勝つ確率の方が高いと見ていた。米国のスポーツ専門チャンネルESPNは「韓国がドイツを破る確率は5%に過ぎない」と予想していた。しかし、韓国は不屈の闘志でそのわずかな望みを現実のものとし、今回のW杯を終えた。