交通関連法規に違反した運転手を「通報する」と脅して恐喝していた30代の男が警察に摘発された。この男はこの3年間で「公益通報アプリケーション」を使い3万回以上も交通関連法規違反の通報を警察などにしていたことが分かった。一日も休まずに通報したとしても、毎日30件は通報していた計算になる。

　ソウル・瑞草警察署は常習恐喝容疑で男（38）を書類送検したと今月11日、発表した。同署によると、男は2016年10月から今年4月まで、ソウル市瑞草区の道路で違法なUターンをした複数の車のドライバーに対し70回にわたり恐喝した疑いが持たれている。男は道路の近くに隠れていて、違法Uターン車を見つけるとホイッスルを吹いて現れ、携帯電話で動画を撮影していた。ドライバーが車を止めると、「近くのマンションに住んでいるが、近所で交通関連法規違反が多いので、代表になって解決している。通報はしないから誠意を見せろ」と金銭を要求した。男は1件あたり1万－5万ウォン（約1000－5000円）を受け取っており、合計約150万ウォン（約15万円）を手にしていた。

　警察によると、男は最近まで中堅建設会社で役員付きの運転手をしていたという。男の携帯電話を見ると、警察庁公益通報アプリなどで2015年半ばから約3万2000回の違法事項を通報した履歴があった。ほとんどが交通信号違反、違法駐停車など軽微な交通法規違反で、多い時は一日70件以上も通報していた。

　男の通報「癖」は執拗（しつよう）だった。男は自身が運転する車の前方に取り付けたドライブレコーダーの映像を別途保存しておき、後で映像を見返してほかの車両の違反の様子を確認・通報した。また、会社でもドライブレコーダーの映像を見ることに没頭した。警察は「違反車両を確認しようと4－5時間しか寝ていなかった。とうとう会社から『仕事を疎かにしている」と指摘され、最近免職になった」と語った。男は通報報奨金を受け取っていない。交通法規違反を通報した際の褒賞制度は2003年に廃止された。

　男の「通報の嵐」を処理しようと、担当者は頭を抱えている。警察関係者は「男が刑事罰を受けるのとは別に、男が通報した件はすべて調べなければならないのが現実だ」と話している。